飛騨古川の瀬戸川と白壁土蔵街ひだふるかわのせとがわとしらかべどぞうがい

飛騨市古川町は、高山市の北西(JR高山線で3駅北)に位置し、町中心地で宮川と荒城川(あらきがわ)が合流している。
 天正年間(1573~1592年)に飛騨を平定した金森氏により、増島城の城下町として、碁盤目に区割りされ整えられた。その際、新田開発の用水として整備された瀬戸川は、武家屋敷と商人町を分けることにもなり、武家屋敷があった場所が殿町、商人町があった場所が壱之町、弐之町、三之町と名付けられた。
 瀬戸川沿いは造り酒屋の白壁土蔵や寺の石垣が続き、川には色とりどりの鯉が泳ぐ(4月中旬~11月中旬)。例年1月15日は伝統行事「三寺(さんてら)まいり」で千本ろうそくが川沿いに灯され、冬の風物詩となっている。
 壱之町通りは、格子のきれいな町並みである。店先に杉の葉を球状に束ねた「酒林(さかばやし)」をぶらさげた酒屋、和ろうそく店、民芸品店など、民家と商家を兼ねた住家である町屋が軒を連ねている。古川祭の屋台(山車)を収納する白壁土蔵造りの屋台蔵が、随所にある。
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みどころ

作家・司馬遼太郎が、著書「街道をゆく 飛騨紀行」で、『古川町の町並みには、みごとなほど、気品と古格がある。』と称賛し、『町としては古川がふるく、高山はあとでできた。』と述べている。
 飛騨を平定した金森氏が、高山と古川を城下町として、京都風に整備した。現在、高山は「飛騨の小京都」、古川は「高山の奥座敷」と呼ばれている。その後、高山が飛騨の中心都市として拡大されていったのに対し、古川は規模を以前とあまり変えずに進んできたので、良き古さを今も全域に残している由縁であろうか。
 また、2016(平成28)年の新海誠監督作品のアニメ映画「君の名は。」では、その舞台のモデル地になっている。観光客も若者が増え、映画のシーンを模して写真を撮影しSNSで発信するという、新しい観光スタイルの要素も兼ね備えてきた。
関連リンク 飛騨の旅(飛騨市)(WEBサイト)
参考文献 飛騨の旅(飛騨市)(WEBサイト)
岐阜の旅ガイド(一般社団法人岐阜県観光連盟)(WEBサイト)
『一度は行きたい 日本の町並み集落』 昭文社
『飛騨市観光ガイドブック ひだ街あるき』
『飛騨古川散策ガイドマップ』

2024年01月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。