天竜川(上流部)てんりゅうがわ

JR天竜峡駅の東、故射橋(こやきょう)を中心とした100mを天竜峡と呼び、天竜川*舟下りの名所である。
 天竜ライン下りが、天竜峡温泉港(姑射橋下)から唐笠港(唐笠駅そば)までの12km、天竜ライン遊舟有限会社によって運行されており、また、天竜峡から上流に当たる弁天港から時又港までの6km、天竜舟下りを運航している。(現在運休中。再開については未定。)
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みどころ

上流の舟下りは豪快な水しぶきが特徴で竹いかだやラフティングなどもある。
 下流のライン下りは天龍峡の峡谷を下り、烏帽子岩や龍角峯(りゅうかくほう)など「十勝」と言われる奇岩などが眺められ、船頭による投網などもみることができる。遊歩道もあり案内人による「まちと森の道」散策もできる。(林 清)
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補足情報

*天竜川:諏訪湖に源を発し、長野・愛知・静岡の三県を貫流して遠州灘に注ぐ全長213km、流域面積5,090km2に及ぶ大河である。長野県下では伊那谷がその流域にあたっている。伊那谷の東西には南・中央アルプスの3,000m級の高峰が連立し、これらの山肌から三峰(みぶ)川・小渋(こしぶ)川など、多くの支流が流れ出している。このため、ひとたび豪雨に見舞われると、たちまち荒れ狂い、1554(天文23)年以来、20回以上もの水害を引き起こしている。反面、天竜川の豊富な流れは、長年にわたって土砂を運び大規模な河岸段丘を生み出し、天龍峡をはじめ各所に景勝地を造り出した。また、1956(昭和31)年、佐久間ダムが完成したのを皮切りに泰阜(やすおか)・平岡・秋葉ダムなどが続々と建設され、水力発電のメッカとなった。この結果、渓谷や急流の大部分が消失し、流れが緩やかになり、水害の心配が少なくなった。かつての豪快さを感じられる場所は少なくなり、江戸時代中ごろから始められた水運としての利用もなくなったが、今は観光用に運航されている天竜舟下りや天竜ライン下りにその面影を偲ぶことができる。天竜川は流域に住む人々にとっては今も昔も母なる川といえよう。