遠山郷・上村下栗の里とおやまごう・かみむらしもぐりのさと

遠山郷上村は飯田市の中心部から東に車で約1時間のところにある、秋葉街道*と共に栄えた土地。「下栗の里」はさらに7kmの曲がりくねった道を上がったところにある、標高800~1,100mの斜面に張り付いたような集落である。最大斜度30度以上の急傾斜地で、今も雑穀を作り続けている集落で、別名『日本のチロル』とも呼ばれている。
 下栗の歴史は定かではないが、隣接する中根地区で縄文土器が出土していることから、下栗でもこの時期、既に人が生活していたと推測されている。その後、遠山氏の治めるところとなり、更には幕府直轄領「門村」の一部となり、飯田市上村下栗地区として現在に至っている。江戸時代後期から人口は増えて、多いときは300人を超えたという。
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みどころ

急斜面の集落で、このような厳しい条件のところに民家や畑があり、人々の営みがあることに感激する。
 近年では、様々なメディアを通じて下栗の里の名が全国的に知られるようになってきている。2009(平成21)年には、美しい下栗の景観を横から見てその斜面の厳しさが理解できるように、里を俯瞰できる「天空の里ビューポイント」が地元住民の手造りで開設・整備された。
 南アルプスを望む景観がすばらしく、1968(昭和43)年に訪れた深田久弥は、自らの著書で「下栗ほど美しく平和な山村を私はほかに知らない」と絶賛している。(林 清)
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補足情報

*秋葉街道:塩尻で千石街道から離れ、諏訪神社、遠山郷、秋葉神社を経て駿河湾の相良まで至る道。