越前陶芸村えちぜんとうげいむら

越前焼*の歴史は、約850年前の平安時代にさかのぼる。室町時代後期に、日本海沿岸を流通圏に収め、生産は最盛期を迎えた。しかし、明治末から大正時代にかけて窯元の廃業が相次ぎ、絶滅に瀕した。
 再び注目されるようになったのは戦後で、越前焼は「日本六古窯*」の一つになり、越前焼産地の拠点として、1971(昭和46)年に越前陶芸村が誕生し、多くの陶芸家が集まるようになった。越前焼の窯元は県内に約80名、そのうち約半数が越前町内で作陶に取り組んでいる。
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みどころ

現在、全体を越前陶芸公園と銘打って、資料館や陶芸体験ができる福井県陶芸館*、呈茶体験ができる越前古窯博物館*、多目的ホールの越前陶芸村文化交流会館など、公設民営で運営されている。園内には、越前焼の直売所、温泉、旅館、ソバ店があり、来訪者の便に供している。
 毎年4月に「越前陶芸村しだれ桜まつり」、5月に「越前陶芸祭り」、10月に「越前秋季陶芸祭」が開催され、多くの陶芸ファンや家族連れで賑わう。(溝尾 良隆)
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補足情報

*越前焼:土に鉄分が多く含まれ、表面の色が赤黒・赤褐色の焼き上がりとなる。また、耐火性も強いため土が焼き締められ、水漏れしにくいという特徴がある。
*六古窯:中世から現在まで生産が続く代表的な6つの産地、越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前の総称。1948(昭和23)年頃、古磁器研究家小山冨士夫によって命名され、2017(平成29)年に日本遺産に認定された。
*福井県陶芸館:土蔵造の優美なたたずまいの陶芸館、幽石庭などの美しい風景を見せる。建物内部には、遠く平安時代末期から栄えた越前古窯のやきものと関係資料を展示する資料館、電動ろくろ体験や手ひねり体験、絵付け体験ができる陶芸教室、本格的茶室「越知庵」を備えた茶苑などがある。
*越前古窯博物館:越前古窯研究家水野九右衛門の旧宅を移築、越前焼でお茶を賞味できる旧水野家住宅、資料館・収蔵庫は水野コレクション、水野氏の研究成果などが展示されている。さらに館内には2つの茶室がある。