伴旗まつりともばたまつり

5月2~3日に開催される、港町・小木の氏神御船神社の勇壮で華やかな春祭り。地元の人びとは「トンバタ祭り」と呼んでいる。神輿を載せた御座船が、高さ30m、幅2mの大きな旗と5色の吹き流しで飾られた9隻の伝馬船を率いて小木港、九十九湾を連なって巡航する。祭りの起源については、「明治中期、子供等が大漁と安全を祈願し、紙で継いだ小さな旗に船名を書きそれを伝馬船に立てて遊んでいた。後に神輿の港内渡御に運航する事が慣例となり、現在のとも旗祭りとなった。」(能登町HP)とされるが、昔、大国主命が軍船を率いて航海している途中に暴風雨に遭遇して九十九湾に避難し、「神旗」を立てて祈願したという「神話」の故事に倣ったものであるとか、藩政時代に御舟神社へ参詣する人々を乗せた漁船がそれぞれの船名を布に書き記した旗を艫に立ててなびかせたことがルーツであるという説、明治時代に漂流して佐渡島に流れ着いた漁師か佐渡の船玉神社に参拝し、分霊をいただいて祀ったことが評判になって艫に船名を立てることが風習になったことから始まったなどの説がある。(能州能登町物語二)
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みどころ

祭りが始まった1899(明治32)年当時は、現在のように大規模なものではなかったが、当時としては海上パレードは珍しく人々から歓迎されたと伝わる。現在でも、まだ肌寒い冷たい風に幟旗を長くなびかせて短冊や吹き流しで飾り付けられ、乗船した子どもたちがたたく太鼓の音を響かせながら進む船群が温まりかけた真っ青な海や空の色にとても映え、背後の山の青葉とのコントラストはまるで大絵巻を見るような美しく壮観なものである。なお、故事に基づくことからか、宵祭りには、佐渡の神様を招待するために、宮司は佐渡の小木に向かって祝詞を上げ、この祭りが始まる時期には、必ず「あいの風*(佐渡の方から)」が吹き、終わるころには「下り(能登の方から)の風」が吹くとされている。なお、とも旗は地元9町会ごとにそれぞれ700枚の和紙を貼り合わせて作り、縁起の良い文字が記される。
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補足情報

*あいの風:東風のこと。季節に違いはあるが、おもに、越(こし)地方(現在の福井県から新潟県に至る)で言った。海から種々の珍しいものを打ち寄せてくれる好ましい風とされる。また北前船は、日本海北部海域からこの風に乗って上方方面へ航行した。(コトバンク)
関連リンク 能登町(WEBサイト)
参考文献 能登町(WEBサイト)
能登町観光ガイド(WEBサイト)
ほっと石川旅ねっと(公益社団法人石川県観光連盟)(WEBサイト)
コトバンク(株式会社DIGITALIO)(WEBサイト)
『能州能登町物語二』数馬公著 北國新聞社

2023年08月現在

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