和倉温泉わくらおんせん

北陸随一の規模を誇る”海の温泉”として、高温で豊富な湯量が魅力の温泉である。七尾湾に突き出た弁天崎の先端にあり、湾前に能登島や机島を望む。温泉の湧出は1200年前と伝え、その後の地殻変動で湧き口が海中に移動していたのを、傷ついた足を癒すシラサギを見つけた漁師夫婦によって湯脈が発見されたという伝説がある。当時は涌浦(わくうら)と呼ばれ、海中に湧き口があったため、1641(寛永18)年加賀藩三代藩主・前田利常が湯口の整備を命じ、周囲を埋め立てて湯島を造らせた。当初は湯を樽に詰めて金沢から富山、大阪まで運ばれて活用されたが、湯島の埋め立てが進んで橋も架けられ、1654(承応3)年に「宿方稼」の許可が出ると、大きな湯座屋や鉱泉宿、内湯宿が建てられた。1674(延宝2)年には加賀藩の命により、「和倉」と改名された。1925(大正14)年に和倉駅が開設されるなどして、戦後になって飛躍的に発展した。
 〔温泉〕4つの源泉から毎分990リットル(動力)の湧出があり、泉温は82.7℃と高温で、無色、透明、無臭であり、泉質はナトリウム・カルシウムー塩化物泉(高張性弱アルカリ性高温泉)。リューマチ・神経痛・皮ふ病などに効能がある。
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みどころ

和倉温泉の湯を楽しむ施設としては、各旅館の風呂のほかに、「総湯」と「足湯」、「変わり湯」の3つがある。
 「総湯」(外湯):和倉温泉唯一の外湯施設で地元の人から旅人まで、広く利用できる"街の温泉"。2011年にリニューアルオープンした。湯屋を思わせる外観と明るい内装も魅力である。
 「湯っ足りパーク(妻恋舟の湯)」(足湯):和倉温泉湯っ足りパーク(公園)の中にあり無料で利用できる。七尾湾に浮かぶ能登島を正面に潮風を感じながら、ぬるめの足湯を楽しめる。
 「変わり湯」:「弁天崎源泉公園」に手を入れて体を末端から温める「手湯」がある。タイツやストッキングで足湯に入りづらい女性客に人気があるという。また、温泉の熱で"床暖効果"を発揮している「あったかベンチ」も冷え性の女性向きとされている。
 和倉温泉内の散策ポイントとしては、弁天崎公園・和倉温泉湯っ足りパーク・青林寺などがあり、七尾湾に生息する野生のミナミバンドウイルカを見る「イルカウォッチング」などもある。また、地元出身の有名パティシエゆかりの店など、スイーツめぐりも楽しめる。
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補足情報

*和倉温泉観光協会では、電動自転車を含めたレンタサイクルを貸し出している。温泉街だけではなく、七尾の中心市街地や能登島などを見て回る際に便利である。
*七尾4大祭り(「青柏祭」「石崎奉燈祭」「向田の火祭り」「お熊甲祭り」)の様子が見られる「和倉温泉お祭り会館」が2020(令和2)年6月にオープンした。
*和倉温泉の宿泊施設数は22軒、宿泊定員は6,577人である(和倉温泉旅館協同組合より、令和5年)。