5月3~5日に行われる大地主(おおとこぬし)神社の例祭。祭りの起源については、981年(天元4)年に能登国国守の源順が能登国の祭りと定めたことに始まり、1473(文明5)年の国祭りで、京都の祇園祭の山鉾にならって曳山を奉納したのが山車の始まりという説があるが、明確ではない。悪事を行って白狼に退治された3匹の大猿の慰霊のために3台の山車を奉納するようになったという伝説もある。名称は青柏の葉に神饌を盛って供えるところに由来するとされている。能登の春祭りを代表する祭礼で、素朴で豪壮な曳山が出る。高さ約12m、重さ20t、車輪の直径2mの「でか山」*(でっかい山車)と呼ばれる巨大な曳山で、末広形とも北前船を模したものとも言われる。扇を開いた形となっている上段には舞台が組まれ、歌舞伎人形などが飾りつけられている。でか山は府中町・鍜冶町・魚町三町の“山町(やまちょう)”から各 1台奉納され、3日間にわたって市内のメイン通りを曳き回される。また、「このほか、人形見、運行中の木遣り(きやり)など多くの特色ある民俗行事を伴っている」(青柏祭でか山保存会)とされている。
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みどころ

「華麗な祇園の山鉾とは違い雪国気質を反映して豪放で素朴、重量感に満ち、能登の曳山を代表するものといえよう」(「日本祭礼風土記」)といわれ、「でか山に乗った木遣り衆が唄を響かせる。民家をしのぐ大きさの山車。これが細い路地をハラハラするスピードで駆け抜ける。山車の方向転換「辻回し」が見せ場。長い木の棒を山車に差し込み、上に十人以上の若衆が乗り、てこの原理で山車を浮かせると、くるりと向きを変える。妙技が披露されるたび拍手と歓声に包まれる」(「祭りの国能登 渋谷利雄の世界」)とされる。また、4か所(大地主神社境内、七尾駅前、七尾フィッシャーマンズワーフ能登食祭市場前、仙対橋付近)では3台のでか山が勢ぞろいする。このでか山の曳行には市民だけではなく観光客も参加できる。なお、5月2日の夜に行われる人形見はでか山行事の一つであり、山町ごとに人形番宅を決め、でか山に飾られる人形を一体ずつ展示する。
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補足情報

*「でか山」:釘を用いずに藤蔓などの材料で組み立て、蓆(むしろ)で包み、幕を張っている。このため、運行中は梃子の使用で山は大きく揺れるが、その揺れを藤蔓の力が元に戻す。なお、和倉温泉お祭り会館では、七尾市を代表する4つの祭りである青柏祭、石崎奉燈祭、お熊甲祭、能登島向田の火祭を中心に、祭り文化と歴史を紹介している。大スクリーンを使用した映像と音による演出などで祭りの迫力や臨場感を体感でき、実物大のでか山や奉燈などを見ることもできる。
関連リンク 青粕祭でか山保存会(WEBサイト)
参考文献 青粕祭でか山保存会(WEBサイト)
飛越能ユネスコ5大祭(飛越能経済観光都市懇談会/ユネスコ5大祭連携PR部会事務局/高岡市観光交流課)(WEBサイト)
『日本祭礼風土記』慶友社
『図説 七尾の歴史と文化』七尾市
『祭りの国能登 渋谷利雄の世界』北陸中日新聞2020/11/27

2023年08月現在

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