千里浜海岸ちりはまかいがん

千里浜海岸は、能登半島の基部西岸、宝達志水(ほうだつしみず)町今浜から羽咋(はくい)市千里浜までの海岸線約8㎞である。中でも、「千里浜なぎさドライブウェイ」は日本で唯一、世界でも珍しい「車で走行できる砂浜」であり、石川県の誇る貴重な財産である。
 車が走行できるのは、砂の粒子が小さく、粒か揃い、適度な水分を含むと全体が固くしまるためである。夏は遠浅の海水浴場となる。
 この貴重な財産を後世に残すべく、石川県では、2011(平成23)年に千里浜再生プロジェクト委員会を設置し、ハード・ソフト両面からの保全対策に取り組んでいる。
 保全対策実施前について千里浜海岸全体の平均的な汀線は、減少傾向となっていたが、千里浜再生プロジェクトで検討した人工リーフや砂の海上投入などの対策により、近年では回復傾向となっている。
 千里浜なぎさドライブウェイについては、安全な走行ができないと判断された場合は、進入規制が行われる。
 また、羽咋市、宝達志水町を中心とした「千里浜再生プロジェクト実行委員会」が設置され、協賛企業・団体を募集し、イベントや情報発信を継続的に行っている。さらに、「千里浜」の地名は、日本海に面した海岸地形の関係で漂着物が多く「塵浜」と呼ばれていたことに由来しているが、市民による「なぎさクリーン運動」などの清掃活動も行われている。
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みどころ

天然の波打ち際を車で走行できるのは、日本ではこの千里浜なぎさドライブウェイが唯一で、世界的にも珍しく、万葉歌人の大伴家持がその美しさを讃えたという海岸線の青く広い海を見ながら、砂浜を車で走る爽快感を味わうことができる。また、随時車を止めて水平線や能登半島の景色を見渡すこともできる。とくに夕暮れは、水平線に沈む夕日が海を茜色に染める幻想的な風景を見ることもできる。
 千里浜再生プロジェクト実行委員会による、海岸保全の意識向上のための取組みとして、観光客にも参加を呼び掛ける「一人一砂運動」や「千の輝き」(砂絵アートやミニコンサートなど)といったイベントが開催される。また、バイクイベント「SSTR」のゴール地点でもある。また、砂でつくられたさまざまなオブジェを展示する「千里浜砂像」(5月~11月)も行われている。その他にも、釣り・サーフィン・ボート・ヨットなどのマリンスポーツを楽しむこともできる。
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補足情報

*「千里浜なぎさドライブウェイ」:実際の走行区間は約6km。トリップアドバイザーによる日本のビーチランキングにて本州で唯一、1位になったことがある。
*走行規制:波が高いなどで安全に走行ができないと判断された場合に、石川県(管理者)が進入規制を行い、車で走行することができない。規制状況は「石川みち情報ネット」で確認することができる。なお、夏の約1カ月間は、夏期に集中する利用客の安全を確保するため、臨時的に道路交通法が適用される。
*「SSTR」:SUNRISE SUNSET TOURING RALLY(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)。日の出とともに自身で定めた日本列島の東海岸からスタートし、日の入りまでにゴールの千里浜海岸を目指すイベント。2013年から毎年開催されている。優劣をつけるものではなく、それぞれ自身の旅テーマに沿いゴールし、ライダー同士で交流を深めることを主な目的とした自己完結型のラリー。