箱根登山電車はこねとざんでんしゃ

箱根登山電車は日本の普通鉄道での最急勾配80‰(1,000mの区間で80m上下する勾配)、箱根の山を箱根湯本(標高96m)から強羅(541m)までの8.9kmを登る山岳鉄道で箱根登山鉄道株式会社が運行している。
 箱根登山鉄道株式会社は、小田原市にある小田急グループの鉄道会社。東海道本線の経路から外れる小田原と箱根を結ぶことを目的として建設された会社であり、その後何回かの組織変更ののち独立した。
 箱根登山鉄道株式会社は小田原駅から早雲山駅までの16.24kmを保有しているが、小田原駅から箱根湯本駅までの区間は小田急電鉄が運行している。箱根登山鉄道は電車区間として箱根湯本駅から強羅駅まで11駅を約40分で運行し、これに接続して強羅駅から早雲山間まで箱根登山ケーブルとして運行している。
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みどころ

急勾配を登るため、標準軌道幅(我が国の鉄道は一般的に狭軌軌道)を採用し、また車輪とレールの間を滑らないようにする散水装置、3回のスイッチバック、急カーブに対応するための短い車両など様々な工夫がみられる。また急勾配のためスピードがあまりでず、それがために山岳風景から近景まで車窓からゆっくり楽しめる。
 箱根登山電車の軌道両側には職員の手植えによるあじさいが迫り、標高により6月中旬から7月中旬までそれぞれの区間で美しい姿が楽しめる。またこの期間、夜間のライトアップや「あじさい電車」の運行なども魅力である。
 またいかにも登山電車の駅の雰囲気を強く感じさせる塔ノ沢駅や宮ノ下駅などの素朴な駅のつくりは魅力的であり、特に塔ノ沢駅には隣接して深沢銭洗弁天が祀られている。1999(平成11)年2月に文化庁の有形登録文化財に登録された出山の鉄橋(早川橋梁)は高さ43mと工事の困難さを感じさせ、かつわが国で現存する最古の鉄道橋でもある。
 この区間の登山電車に接続して、強羅から早雲山までの箱根登山ケーブルカー、早雲山から大涌谷駅、姥子駅経由で桃源台までの箱根ロープウェイと乗り継いで芦ノ湖まで様々な変化ある景観がそれぞれの車両の中から楽しめる。(林 清)

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