小田原城おだわらじょう

小田原城は、小田原駅の西南、相模湾に向かって延びた箱根外輪山麓の台地上にある。
 1416(応永23)年、土肥氏に代わった大森氏の治世を経て、1500年頃に小田原北条氏の初代 早雲が小田原城へと進出した後、五代約100年に渡り関東一円を支配した。1590(天正18)年の豊臣秀吉の小田原攻めにより北条氏が五代で滅んだ後は、家康の家臣の大久保氏が封ぜられ、続いて阿部氏、稲葉氏の時代を経て再び大久保氏の居城となり、幕末を迎えた。幕末時には11万3,000石を誇ったものの、1870(明治3)年に廃城となった。
 小田原市の市制20周年を記念して、1960(昭和35)年に天守閣を復興した。江戸時代に造られた天守模型などを参考に設計され、鉄筋コンクリート造、本瓦葺、3層4階(内部5階)の天守に続櫓を伏した複合式天守閣となった。
 その後2015(平成27)年から改修工事(平成の大改修)が施され、2016(平成28)年5月にリニューアルオープンした。現在、1階は江戸時代における小田原城の役割や城主たちの足跡、2階は戦国時代の北条氏の足跡、3階は小田原ゆかりの美術工芸品や発掘調査の成果、4階は明治時代以降の小田原城の歴史、5階は摩利支天像等の展示及び展望デッキになっており、デッキから見渡す四囲の眺望は箱根連山から伊豆・房総半島にまで及んでおり、雄大である。
 また、1971(昭和46)年には常盤木門(本丸に入る正門で、渡し櫓、多門櫓、冠木門、桝形から成る)が、1997(平成9)年には銅門が、2009(平成21)年には馬出門がそれぞれ復元された。
 現在、城址公園内には復元されたこれらのものに加え、戦国時代~江戸時代にかけて使用された武具などを展示したSAMURAI館、風魔忍者にスポットをあてた体験型ガイダンス施設である小田原城歴史見聞館 NINJA館、郷土文化館、こども遊園地などが設置されている。
 また、公園内には300本以上の桜が植えられているのをはじめ、うめ、つつじ、あじさい、はなしょうぶ、はす、ふじなど多種の植物があり、人々の目を楽しませている。
 なお、毎年5月3日には、小田原市最大のお祭りである、戦国大名北条氏を称える「北條五代祭り」が催される。
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みどころ

小田原城のシンボルである天守閣は、江戸時代に造られた天主模型や引き図などの資料を基に1960(昭和35)年に復興されたものであり、全国的にみても大規模で迫力がある。そして均整のとれた形状と周辺の自然と調和する姿は美しく、どの角度から見てもその姿を堪能することができる。
 一方、天守閣5階の展望デッキに上ると、公園内はもちろん、相模湾、伊豆半島などを一望することができる。現在は穏やかな景色を堪能できるが、戦国時代には石垣山一夜城及び小田原城を囲む豊臣秀吉軍15~16万人ともいわれ、その迫力に圧倒されたことであろう。このような歴史の流れや風情も感じてほしい。(牧野 博明)

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