大山阿夫利神社おおやまあふりじんじゃ

大山阿夫利神社は、約2,200年前の崇神天皇のころの創建と伝えられている。祭神は大山祗大神(おおやまつみのおおかみ)、高龗神(たかおかみのかみ)、大雷神(おおいかずちのかみ)で、延喜式内社に位置づけられている。755(天平勝宝7)年、東大寺別当良弁が堂塔・僧坊を建て、神仏混淆の時代が始まった。
 源頼朝・足利氏・北条氏などの尊崇が厚く、江戸時代になると特に徳川氏の厚い崇敬を受けた。江戸中期から末期にかけては、江戸民衆の大山詣が隆盛を極め繁栄し、多くの独特な風習が生み出された。その一つ「納太刀」は、源頼朝が刀を納めたことに由来するもので、木太刀を納める儀礼である。明治初期の神仏分離令により、大山寺を現在の地に移し、阿夫利神社という名称に復した。
 社殿は、大山山頂(標高1,252m)に本社、中腹(標高696m)に下社が設けられている。自然石を御神体として祭るところから「石尊社」ともいわれる。神仏混淆の時代は「石尊大権現」と称し、修験道場としてもおおいに栄えた。
 本社の社前に「雨降木」と呼ばれるブナの大木があり、晴天にも水滴をたたえ、これに霧がかかると雨が降るといわれている。下社は拝殿で、大きな社殿がうっそうとした木立に囲まれている。境内には獅子山や天満宮、浅間社、山頂への入り口となる登拝門などがあり、拝殿の石段下には参集殿や茶屋などが軒を並べる。また、社の地下には大山名水の水飲み場や神社に伝わる品々の展示コーナーが設けられている。
 眺望の良さでも知られ、眼下に広がる関東平野や相模湾を一望できる。
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みどころ

標高678mにある大山ケーブルカーの阿夫利神社駅を降りると、麓とは異なる冷気(霊気)が感じられる。茶屋などが並ぶ広場から下社に続く階段は「参道」に該当し、神の領域に近づいていることを実感できる。そして階段を登りきり、神々しい雰囲気を醸し出す阿夫利神社下社(標高696m)を目の当たりにすると、緊張感とともに安堵感を得ることができる。
 また、山頂(阿夫利神社本社)への登山口である登拝門では、登山者の安全を祈願するためのしつらえが施されており、登山者に安心感を与えている。(牧野 博明)
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補足情報

*2016(平成28)年、「江戸庶民の信仰と行楽の地~巨大な木太刀を担いで『大山詣り』~」として、日本遺産に登録された。日本遺産(Japan Heritage)は、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもの。ストーリーを語る上で欠かせない魅力溢れる有形や無形の様々な文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内だけでなく海外へも戦略的に発信していくことにより、地域の活性化を図ることを目的としている。
*茶寮 石尊は、2019(平成31)年4月始業。設計 堀部安嗣、施工 宮大工内田幸夫。

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