浜離宮恩賜庭園はまりきゅうおんしていえん

隅田川河口の一角、旧東京中央卸売市場(旧築地市場)の西隣にある。大手門口へは都営地下鉄汐留駅と築地市場駅、ゆりかもめの汐留駅から徒歩7分、もしくはJR・東京メトロ・都営地下鉄の新橋駅から徒歩12分の所にある。
 寛永のころは将軍家の鷹狩の地であったが、1654(承応3)年、甲府宰相松平綱重*が将軍家から土地を拝領して下屋敷とし、甲府浜屋敷または海手屋敷と呼ばれた。その子綱豊が6代将軍家宣になると浜御殿と称し、茶園、織殿、火薬庫などが置かれ、幕末には石造の洋館延遼館も建設された。明治以降は皇室の離宮、宴遊地となったが、1946(昭和21)年に東京都の管理下に移され、都立庭園として一般に開放された。面積約24万7,500m2の園内は潮入池*を主体とした池泉回遊式庭園で、鴨場跡*・馬場跡などがあり、江戸時代の庭園の遺構をよく残している。広大な林泉は四季の変化が美しい。
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みどころ

都心にある庭園で、周辺には新橋や汐留の高層ビルが立ち並ぶが、近代的なデザインのビル群であるため、庭園の広場や池の緑とのコントラストが美しく目に映る。
 園内には4ヵ所の御茶屋がある。歴代の将軍たちは「御茶屋」で賓客と共に楽しみながら食事をしたり、調度品を鑑賞するなどして過ごしたほか、鷹狩りの際の休憩場所としても使用していた。これらの多くは焼失したが、それぞれ史料に基づき忠実に復元されている。中島の御茶屋は水上に浮かぶような姿が特に美しく、池の岸から小の島経由で中の島まで120mの総檜造りの「お伝い橋」で続いており、絵になる風景である。
 潮入の庭園であるだけに、隅田川から水上バスで園内の水上バス発着所まで到達できる。隅田川にかかる数々の橋を眺めながら移動するのも格別だ。また、徒歩圏内には旧芝離宮恩賜庭園、築地場外市場もあるので味覚も楽しめる。
 お花畑では春はナノハナ、夏から秋にかけてはキバナコスモスやコスモスが一面に咲き誇り、都心の憩いの場となっている。
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補足情報

*松平綱重:1644(正保元)年 - 1678(延宝6)年。江戸時代前期の大名で甲斐国甲府藩主。後に徳川綱重となる。第6代将軍・徳川家宣の父でもある。第5代将軍・徳川綱吉には嫡子がなかったため、綱重が綱吉の兄であったこともあり徳川家宣が6代将軍になった。
*潮入池:海水を導き入れ、潮の満ち引きを利用して池の趣を変えるもので、海辺の庭園で通常用いられていた様式。東京では旧芝離宮恩賜庭園、清澄庭園、旧安田庭園なども昔は潮入の池であったが、現在は浜離宮恩賜公園のみである。江戸時代はこの潮入の池で、将軍や賓客、大奥などが海の魚釣り等を楽しんだという。
*鴨場跡:鴨猟のために作られた池。池の周囲に土を盛り、樹木を茂らせ、鴨をおびき寄せるように地形を巧みに入り組ませ、囲いの外側から鴨の集まり具合を観察できる覗戸が設けられている。
関連リンク 公益財団法人東京都公園協会(WEBサイト)
参考文献 公益財団法人東京都公園協会(WEBサイト)
GO TOKYO 東京の観光公式サイト(WEBサイト)
「江戸東京の庭園散歩」 JTBパブリッシング
「東京都の歴史散歩」 山川出版社

2025年06月現在

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