上野動物園うえのどうぶつえん

JR及び京成電鉄上野駅から徒歩5分、上野公園の西端にあって、総面積約14万m2の敷地をもつ大規模な動物園である。日本の動物園の中でもっとも歴史が古く、1882(明治15)年に博物館の付属動物園として開園。1924(大正13)年に上野公園とともに東京市に下賜された。江戸時代から動物を人々に観覧させることは盛んであった。上野動物園も開園の年、約20万5,000人が押し寄せ、そののちも、トラやインドゾウ、日清戦争の戦利品のフタコブラクダなどが公開されると、入園者は40万人、50万人と増えていった。1902(明治35)年にライオン、1907(明治40)年にキリン2頭をドイツ・ハーゲンベック動物園から購入すると、100万人を突破した。こうして上野動物園は充実していったが、動物の数が増えて狭隘となり、1910(明治43)年、2万5,000m2(7,575坪)の土地に新たに7,470m2(2,260坪)が編入されて、その規模は1949(昭和24)年まで続いた。
 現在、園内には哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類など300種、3,000点(2024年3月時点)の動物が飼育されている。特にゾウ・キリン・ゴリラなどや、中国からきたパンダ*が子供たちの人気の的になっている。動物園は東園と西園とに分かれており、両園を結ぶ約300mの間をシャトルバスが無料で運行されている。東園は上野の山の豊かな緑を維持しており、ゴリラ・トラのすむ森、ゾウのすむ森、ホッキョクグマとアザラシの海がある。重要文化財の旧寛永寺五重塔などの史跡も残されている。不忍池*の北にある西園には、2020(令和2)年9月に新しい施設として、人気のパンダのもりがオープンした。そのほかに、キリンなどのアフリカの動物、アイアイのすむ森、両生爬虫類館がある。子ども動物園は、1948(昭和23)年に日本で初めて設置された。
#

みどころ

飼育されている動物の看板を注意してみてほしい。IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト9カテゴリーのうち、CR(深刻な危機)、EN(危機)、VU(危急)、NT(準絶滅危惧)が表示され、ワシントン条約(CITES)の附属書として、商取引禁止が強い順に、I、II、III、記載なしの表示がされている。動物が「見られる時間」、「見られない時間」も案内していて、来訪者に動物の行動があきらかになってよい。
 広い上野動物園であるが、わかりやすい「上野動物園マップ」が日本語版と英語版で配布されている。入り口・出口が正門ほか弁天門、池之端門の3か所があり、同じ入り口に戻らなくても良いようになっている。
#

補足情報

*パンダ:中国四川省の標高2,000~5,000m級の高山の竹林に生息するパンダ科の動物。正式名称はジャイアントパンダ。上野動物園では、2025年6月現在、シャオシャオとレイレイの2頭が西園のパンダのもりにいる。
*不忍池:周囲約2km、11万m2、夏になると南の池は蓮におおわれる。池では鳥類は以前多かった鴨が減少している。その一方、都会ではめずらしいカワウが繁殖している。
関連リンク 東京ズーネット(公益財団法人東京動物園協会)(WEBサイト)
参考文献 東京ズーネット(公益財団法人東京動物園協会)(WEBサイト)
「台東区史 通史編Ⅲ」台東区 2000年

2025年06月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。