上野東照宮
JR上野駅から300mほど、不忍池と上野動物園にはさまれた小高いところにある。藤堂高虎*1から拝領した忍ヶ岡(上野)にあった屋敷地に、天海*僧正が東叡山寛永寺を開山した。境内に建立された多くの伽藍のひとつとして、1627(寛永4)年に創建されたのが、東照社である。1646(正保3)年に後光明天皇から宮号を賜わり、以後上野東照宮と称するようになった。現在の金色殿(社殿)は、1651(慶安4)年3代将軍家光が大修造を行ったときの建築で、権現造*3、総金箔の豊麗な装飾で知られている。境内には徳川御三家が奉納した大青銅燈篭、諸大名奉納の唐銅燈篭、石燈篭が並び、特に巨大なお化け燈篭*4が目を引く。左手には回遊式のぼたん苑*5がある。上野東照宮は、日光や久能山などと同様、徳川家康公(東照大権現)を神として祀る神社のひとつである。

みどころ
上野公園のなかでも上野駅から動物園に向かう人通りの多い一画と趣を異にするのがこのエリアだ。動物園の手前で左手に折れ、しばらく進んで石鳥居を抜け大きな石燈籠が並ぶ一角に差し掛かると、雰囲気が一変する。さらに進むと右手に朱塗りの五重塔が現れる。江戸時代には上野東照宮の五重塔だったものだ。明治の神仏分離の際に切り離されたため、現在の名称は「旧寛永寺五重塔」。その先正面に現れるのは、両脇に江戸時代初期の彫刻師左甚五郎作の昇り龍と降り龍が施された金色の唐門だ。左右には透塀が続く。参道の右手には、藤堂高虎らが寄進したという大きな銅燈籠が数多く並び壮観だ。左手の受付から透塀の中に入る。金色殿(社殿)内部までは見ることはできないが、外観を間近に拝観することができ、その偉容に圧倒される。ここでは社殿や唐門の金色の派手さに目が向きがちだが、軒下や壁板に施された緻密な透し彫りや、色鮮やかに彩色された彫り物もじっくりと見学したい。拝観有料。

補足情報
*1 藤堂高虎:1556(弘治2)~1630(寛永7)年。安土桃山~江戸初期の武将。出身は近江国。浅井長政・羽柴秀長・豊臣秀吉らに仕えたが、関ヶ原の戦い・大坂の陣では徳川家康方につき、その功により伊勢・伊賀など32万石を与えらえた。「藤堂家舊記」では1616(元和2)年に死の床についた家康の見舞いに駿府を訪れた際、天海僧正とともに「何れ之國(国)にてもよき景地にて、末世まても可宜とおもひ寄し所に_を構へ、割靈(霊)を觀(観)請し、僧正と其方(高虎)と兩脇に配列したし候へ」と家康から遺言を賜ったという。これに従い、上野東照宮を建立したといわれている。
*2 天海:1536(天文5)~1643(寛永20)年。天台宗の僧。号は南光坊。勅諡号慈眼大師。出身地は会津高田。1589(天正17)年に徳川家康に謁して帰依を受け、江戸開府にあたり、風水などの思想を取り入れ、幕政にも多大の影響を与えた。また、家康を神格化するにあたり神号を「東照大権現」とすることを主導した。家康の死後は秀忠を補佐、家光の信任を得た。日光山を再興、東叡山寛永寺を開山した。
*3 権現造:桃山時代ごろに始まった神社建築の様式。古来神社建築では神を祀る本殿と、神を拝むための拝殿は離れて建築されていたが、この2棟を石の廊下でつなぎ、屋根をつけて連接する工字形の構造である。
*4 お化け燈篭:1631(寛永8)年に佐久間勝之(信州長沼藩初代藩主)が奉納したもの。高さ6.06m、笠石の周囲3.63m、春日石の巨大燈篭。
*5 ぼたん苑:1980(昭和55)年開園。春110品種500株、冬40品種160株が日本庭園に植栽されている。1月1日 ~ 2月中旬「冬ぼたん」、4月中旬 ~ 5月中旬「春のぼたん祭」、9月下旬 ~ 10月下旬「ダリア綾なす秋の園」が催される。会期外は閉園。入苑有料。
*2 天海:1536(天文5)~1643(寛永20)年。天台宗の僧。号は南光坊。勅諡号慈眼大師。出身地は会津高田。1589(天正17)年に徳川家康に謁して帰依を受け、江戸開府にあたり、風水などの思想を取り入れ、幕政にも多大の影響を与えた。また、家康を神格化するにあたり神号を「東照大権現」とすることを主導した。家康の死後は秀忠を補佐、家光の信任を得た。日光山を再興、東叡山寛永寺を開山した。
*3 権現造:桃山時代ごろに始まった神社建築の様式。古来神社建築では神を祀る本殿と、神を拝むための拝殿は離れて建築されていたが、この2棟を石の廊下でつなぎ、屋根をつけて連接する工字形の構造である。
*4 お化け燈篭:1631(寛永8)年に佐久間勝之(信州長沼藩初代藩主)が奉納したもの。高さ6.06m、笠石の周囲3.63m、春日石の巨大燈篭。
*5 ぼたん苑:1980(昭和55)年開園。春110品種500株、冬40品種160株が日本庭園に植栽されている。1月1日 ~ 2月中旬「冬ぼたん」、4月中旬 ~ 5月中旬「春のぼたん祭」、9月下旬 ~ 10月下旬「ダリア綾なす秋の園」が催される。会期外は閉園。入苑有料。
関連リンク | 上野東照宮(WEBサイト) |
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参考文献 |
上野東照宮(WEBサイト) 「慈眼大師全集 上巻 藤堂家舊記」大正5年 387/471 国立国会図書館デジタルコレクション 「上野東照宮に江戸を見る」台東区文化探訪アーカイブス(台東区、早稲田大学メディアデザイン研究所)(WEBサイト) 上野東照宮ぼたん苑(WEBサイト) |
2025年06月現在
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