皇居三の丸尚蔵館こうきょさんのまるしょうぞうかん

皇居三の丸尚蔵館は、皇室から寄贈された美術品を収蔵し、保存と研究、公開を目的とした施設。その名の通り、かつての江戸城の三の丸、現在の皇居東御苑内に位置しており、東京駅から徒歩15分、または地下鉄大手町駅から徒歩10分で到着する。
 同館の発足のきっかけとなったのは、1989(平成元)年に上皇陛下と香淳皇后*により、昭和天皇まで代々受け継がれた美術品が国へ寄贈されたことである。
 収蔵品は、絵画・書跡・工芸品など、各時代・各分野を代表する数々の名品が揃う。また、日本を中心とする東洋の美術工芸品のほか、時代・地域・分野ともに幅広いことが特徴。
 2019(令和元)年からは施設の拡充を図り、新館の建設が進められている。また2023(令和5)年には同館の管理・運営が宮内庁から独立行政法人国立文化財機構に移管され、名称も「皇居三の丸尚蔵館」となって、一部開館。2025(令和7)年5月7日からは一時休館し、2026(令和8)年秋に全館開館を予定している。
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みどころ

収蔵品は、平安時代の書の「粘葉本和漢朗詠集」*や、国宝「金沢本万葉集」*、鎌倉時代の絵巻、国宝「春日権現験記絵」*や国宝「蒙古襲来絵詞」*、安土桃山時代の狩野永徳筆、国宝「唐獅子図屏風」*、江戸時代の伊藤若冲筆、国宝「動植綵絵」*、近代では下村観山や横山大観、並河靖之、高村光雲らの作品など、各時代を代表する名品が数多い。
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補足情報

*香淳皇后:1903(明治36)年~2000(平成12)年 昭和天皇の皇后。
*粘葉本和漢朗詠集:藤原行成の筆と伝わる。『権跡朗詠』ともいわれる。旧御物として三種の朗詠集が名高いが、本書はその第一。1878(明治11)年に近衛家から献上。
*金沢本万葉集:藤原定信筆。五大万葉集として知られる平安時代書写の万葉集のひとつ。1910(明治43)年に前田家から献上。国宝。
*春日権現験記絵: 春日大社に祀られる神々の利益と霊験が描かれている。痛みやすい絹地の絵巻が完全な姿で現存しており貴重性も高い。国宝。
*蒙古襲来絵詞:二度の元寇に出陣した肥後国御家人・竹崎季長を中心に展開する絵巻。歴史的事実の視覚的史料としても貴重な作品。国宝。
*唐獅子図屏風:右隻は狩野永徳の数少ない確証的な作品として名高い。雌雄の獅子の堂々とした姿が力強い筆法で描かれている。現在は、江戸時代に狩野常信が制作した左隻とともに一双として伝わる。国宝。
*動植綵絵:伊藤若冲が京都・相国寺に『釈迦三尊図』とともに寄進した30幅に及ぶ花鳥画の大作。植物や鳥、昆虫、魚貝などの生き物が生命感も瑞々しく描写されている。国宝。
関連リンク 皇室三の丸尚蔵館(WEBサイト)
参考文献 皇室三の丸尚蔵館(WEBサイト)
相国寺(WEBサイト)

2025年06月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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