新宿御苑しんじゅくぎょえん

明治神宮外苑の北西に位置する、広さ583,000m2の広大な国民公園。出入口は3か所あり、新宿門へは東京メトロ新宿三丁目駅か新宿御苑前駅から徒歩5分、大木戸門へは新宿御苑前駅から5分、千駄ヶ谷門へはJR千駄ケ谷駅などから5分で到達できる。この他現在は使われていないが、新宿門と大木戸門の間に旧新宿門がある。
 新宿御苑の敷地の大部分は江戸時代に徳川家康の家臣・内藤清成が賜った江戸屋敷地がルーツといわれ、玉川上水を引き入れた庭園は玉川園と呼ばれていた。明治初期に政府が購入し、日本の近代農業振興を目的とした「内藤新宿試験場」を設立、農業や養蚕の研究をひろく行っていた。その後管理元が政府から皇室及び宮内省に移され、1879(明治12)年に新宿植物御苑に変更となった。現在のような庭園となったのは1906(明治39)年からである。以来、観桜会・観菊会などに使われてきたが、戦後、国民公園として一般に開放された。
 苑内には桜をはじめ多くの樹木が茂り、その中には西洋庭園・日本庭園などがある。ベルサイユ園芸学校のアンリー・マルチネー教授の設計による西洋庭園は、並木のある整形式庭園や、芝生広場を中心とする風景式庭園で構成されている。
 それぞれ趣の異なる玉藻池、中の池、上の池、下ノ池が配され、飲食のできる中の池のほとりのスターバックスコーヒーをはじめ、翔天亭、楽羽亭、レストランゆりのきがあり、無料休憩所も多い。これだけ見ても新宿御苑の広さが分かる。
 その他の見どころとして新宿御苑ミュージアム、旧洋館御休所、温室*、旧御凉亭などの施設がある。
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みどころ

木々の隙間から、あるいは広い芝生広場から見える新宿高層ビル群は都心ならではの庭園風景で、東京のオアシスと言われる所以である。
 苑内にはそれぞれ特色が異なる3つの庭園がある。風景式庭園は、ゆったりと広がる芝生と巨樹が特徴。中央には御苑のシンボルツリーである高さ30mを超えるユリノキがそびえ、秋の紅葉時には黄色く染まり圧巻である。左右対称の直線的な道路で区画割りされた整形式庭園は、中央部にバラ約100種類約500株の花壇と、その両側には計約140本のプラタナスを4列に植えた並木が続いている。特に秋には黄色に染まる並木が見事で、絶好の写真撮影ポイントになっている。日本庭園は「池泉回遊式」と呼ばれる最も一般的な日本庭園で、池を中心に園路が作られている。池越しに見る旧御凉亭は風情があり、秋には紅葉に彩られ、美しい景観を楽しめる。特に梅雨時期には趣のある日本庭園である。苑内では、春には約70種約900本の桜、秋には見事な紅葉や皇室ゆかりの菊花壇展などが楽しめる
 新宿門と大木戸門の間には、1927(昭和2)年に建てられた旧新宿門衛所および旧大木戸門衛所や、玉川上水・内藤新宿分水散歩道と呼ばれる散策路があり、歴史を感じさせる道となっている。
 とにかく広いので、初めて訪れる人はとまどいを覚える。まずは新宿門にあるインフォメーションセンターで苑内マップや情報を入手して散策するルートを計画し、苑内の案内と照らし合わせて散策したい。
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補足情報

*温室:大木戸門を入った右手にある。珍しい外国樹やサボテン、食虫植物、ランなどを栽培・育成しており、南国ムードに満ちている。2012(平成24)年に、絶滅危惧種の保存・展示を行う環境配慮型温室としてリニューアルオープンした。
関連リンク 一般財団法人国民公園協会 新宿御苑(WEBサイト)
参考文献 一般財団法人国民公園協会 新宿御苑(WEBサイト)
GO TOKYO 東京の観光公式サイト(WEBサイト)
「江戸東京の庭園散歩」JTBパブリッシング
「東京都の歴史散歩」山川出版社

2025年06月現在

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