表参道ケヤキ並木おもてさんどうけやきなみき

JR原宿駅前、神宮橋から青山通りまでのびる原宿のメインストリートには約1.1kmのケヤキ並木となっており、ファッションビルや喫茶店・レストラン、有名なブティック、古美術店などが軒を並べる。
 原宿駅は現在の位置より500mほど代々木寄りの林の中で開業した。米・麦・野菜を運ぶ貨物駅で、1両連結の旅客列車が貨物列車の合間に運転された。明治神宮造営にともなって現在の地に駅舎が建った。昭和10年代(1935~44)には、神宮の隣りの代々木練兵場で演習、軍事教練が行われ、それに参加する学生の乗降が多くあった。当時にしては珍しいイギリス調のハーフティンバー様式の駅舎は、ガラス張りに改築された。
 1920(大正9)年の明治神宮造営の際、青山6丁目から神宮橋にむかって約1キロの表参道が整備され、翌年、参道両側に201本のケヤキが植樹された。1945(昭和20)年の空襲で13本を残して焼失したが、1948(昭和23)年から翌年にかけて、造園業者が私財をなげうって補植をして、現在は155本を数える並木となっている。
 原宿駅から青山に向かって進むと、かつての同潤会アパート*の跡地に、安藤忠雄の設計による表参道ヒルズが建つ。高さはケヤキの高さを越えないように地上6階、地下6階で設計され、商業施設は地上3階~地下3階に収められ、4階以上は住居となっている。
#

みどころ

ケヤキ並木は、春の新緑、秋の紅葉のほかに、暑い夏に緑陰を提供し、来訪者に心地よい空間を提供している。原宿表参道欅会*の主催による冬のイルミネーションの時期は、さらに美しい街区となる。歩道空間も広く、買い物をしながらのんびりと散策するのによい。
 すばらしいケヤキ並木なので、改装新築する建物が、並木の高さを超えないように配慮している。表参道ヒルズは、表参道の傾斜にあわせ、床をスロープ状に傾斜させている。
 表参道は、冬至の日の朝、太陽の昇る方向の軸と重なるよう設計されている。
#

補足情報

*同潤会アパート:関東大震災の復興事業として、震災の義援金により、都内と横浜に1926(大正15)年から1934(昭和9)年にかけて建てられた16棟の鉄筋コンクリートのアパートである。中流階級の人たちに好まれた。参道ヒルズ建設の際は取り壊しを惜しむ声があり、一部を保存して再利用している。
*原宿表参道欅会:表参道と神宮前交差点両側の明治通り沿いを区域とする「原宿シャンゼリゼ会」として1973(昭和48)年4月に設立された商店会で、1985(昭和60)年8月に商店街振興組合として法人化した。1999(平成11)年9月には、原宿の発祥の地に位置すること、歴史的に明治神宮の表参道であることから、シンボルである欅(けやき)の名を取って「原宿表参道欅会」と名称を変更した。地域の生活環境の向上と商業の健全なる発展を目指し、各種まちづくり事業に取り組んでいる。2023年1月現在、200社、約550店舗が加盟。

2025年06月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。