飯高寺はんこうじ

飯高寺(飯高檀林跡)は、匝瑳市北部の舌状台地上に立地する。境内の面積は約68,000m2で、全体が千葉県の史跡に指定されている。
 1580(天正8)年から1874(明治7)年までの294年間、日蓮宗僧侶の学問所である檀林(だんりん)*として存在し、多くの僧侶を輩出した。最盛期には、600~800人の学僧が集まったと言われている。また、この系譜が立正大学の創設につながっている。
 総門*から講堂*に続く杉並木は、1650(慶安3)年の講堂焼失後に紀州熊野杉の苗が植林されたものと考えられている。
 廃檀となった後も、当時の建物はよく保存されており、うっそうと茂った杉林の中に姿をとどめている。現在は、コンサート会場として利用されているほか、ガイドツアーも実施している。
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みどころ

総門をくぐり、うっそうと茂る杉林に囲まれた参道を進むと、眼前に巨大で美しい講堂があらわれる。その周辺には趣のある鼓楼*と鐘楼*が並び立ち、厳かな雰囲気が感じられる。
 参道の途中にある「立正大学発祥之地」の石碑から、檀林から大学へと学問が受け継がれた事実をうかがい知ることができ、時代が流れても学問の精神は不変であるという想いが伝わってくる。
 このような檀林跡の魅力をより深く理解するためにも、ガイドツアーを利用したい。(牧野 博明)
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補足情報

*檀林:檀林とは栴檀林(せんだんりん)の略語で、僧侶の集まりを栴檀の林に例えた、つまり寺院の尊称であるとともに仏教の学問所を意味するものである。
*総門:1680(延宝8)年に中野善五左衛門が設置。現在のものは1782(天明2)年に建立されたと伝えられる、高麗門様式銅版葺きの建造物。
*講堂:1651(慶安4)年に建立された、木造入母屋造栩(とち)葺きの建造物で、間口は26.722m、奥行きは16.225m。1997(平成9)年から2002(平成14)年に行われた保存修理により、建立当初の姿に復元された。飯高檀林施設の中心で、現在の大学院クラスの教室だった。
*鼓楼:1720(享保5)年の建立とされる、木造入母屋造茅葺きの建造物。学寮から学僧達を呼集する際に打ち鳴らした。楼内部には、直径90cmの太鼓が収納されている。
*鐘楼:建立年不明の木造入母屋造柿(こけら)葺きの建造物。梵鐘は、1639(寛永16)年に江戸鋳物師が鋳造。
関連リンク 匝瑳市(WEBサイト)
参考文献 匝瑳市(WEBサイト)
まるごとe!ちば(公益社団法人千葉県観光物産協会)(WEBサイト)
パンフレット「飯高壇林跡(飯高寺)ご案内」

2020年04月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。