高麗神社こまじんじゃ

JR川越線・八高線の高麗川駅から徒歩約20分。西武線高麗駅からは徒歩約40分。
 高麗神社は、奈良時代に創建され、高句麗からの渡来人高麗王若光を主祭神としている。若光は高句麗からの使節として渡来した。朝廷から「王姓(こきしのかばね)」を賜っていることから高句麗の王族出身者と考えられている。716(霊亀2)年に高麗郡が置かれ、関東に散在していた高麗(高句麗)人が移住した。その際、若光は高麗郡の開拓に尽力したと伝えられている。没後に建てられた霊廟が高麗神社の始まりで、若光の子孫が代々神社に仕えてきた。現宮司は若光から数えて60代目にあたる。
 本殿は安土桃山時代に建築された一間社流造で、県指定文化財になっている。覆屋・幣殿・内拝殿・神門・手水舎などは、大正・昭和期に活躍した建築家伊東忠太の設計に基づいて建築された。
 境内隣接地には国指定重要文化財高麗家住宅がある。社家高麗氏の旧宅で、慶長年間(1596~1615年)の建築と伝えられている。1976(昭和51)年から全解体修理が行われ、創建当初の間取りが復元されている。
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みどころ

高麗神社周辺には皇族、王公族の方々も参拝されている。大韓帝国最後の皇太子であった李王垠殿下は、1942(昭和17)年に参拝されている。
 近年では、2017(平成29)年に天皇皇后両陛下も参拝されている。今上陛下も学生時代の昭和51年に高麗神社に参拝され、解体修理直前の高麗家住宅を見学されている。
 大正時代以降に参拝した政治家の中から、若槻禮次郎・濱口雄幸・斎藤實・鳩山一郎など、内閣総理大臣を輩出したことから、出世開運の御利益がある「出世明神」として広く知られるようになった。
 また、尾崎紅葉や太宰治、坂口安吾といった文化人も参拝に訪れている。出世開運の御利益に満ちた境内は、姿勢を正し、気持ちを引き締めて、ゆっくりとお参りしたい。
 毎年10月19日の例祭後には氏子による獅子舞が奉納されている。400年ほど前から伝わるもので、日高市指定民俗文化財である。3頭1人立ちの獅子が舞う様は「獅子狂い(ししっくるい)」と称されるほど激しく勇壮である。
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補足情報

*志木、新座、和光市新倉など、朝鮮からの渡来人に関連する地名が周辺に残る。
関連リンク 高麗神社(WEBサイト)
関連図書 高麗文康『高麗王若光物語』幹書房、2013年3月
参考文献 高麗神社(WEBサイト)
『埼玉県の歴史散歩』山川出版社、2005年

2020年04月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。