少林山達磨寺しょうりんざんだるまじ

市の西、鼻高丘陵の北斜面にある。その昔、行基菩薩作とされる観音菩薩をお祀りする御堂があった。江戸時代に碓氷川の氾濫の折流れ着いた光り輝く香木で、一了居士が達磨大師坐像を彫刻し安置したのが達磨寺となる由縁である。
 1697(元禄10)年に水戸光圀公の帰依された心越禅師を開山と仰ぎ、前橋城の裏鬼門を護る寺として、第5代前橋城主酒井雅樂頭忠孝公により開創された祈祷寺。のちに水戸家から「三葉葵の御紋」と「丸に水の紋章」を賜い、永世の祈願所とされる。北辰鎮宅霊符尊*と達磨大師*と観音菩薩を本尊とし、方位八方除けを中心に家内安全、商売繁昌、厄除け、病気平癒、良縁成就など様々な星祭り祈祷を行う霊場。
 約320年前より受け継がれる七草大祭は、星祭大祈祷を厳修する正月七草の伝統行事。7日の午前2時は霊符尊降臨の吉日で、6日の前夜祭から御利益をもとめる参拝者でにぎわう星祭りの縁日。約220年前、天明の大飢饉で苦しむ農民の経済援助・救済のために副業になるよう、第九代住職の東嶽和尚が開山心越禅師の描いた「一筆達磨札」をもとに木型を彫り、張り子のだるまの作り方を伝授したのが縁起だるまの起こり。そして、この縁日で縁起物として売り出し、少林山七草大祭だるま市*として信仰されている。
 少林山達磨寺では、東嶽和尚から始まった「縁起だるま」を祈祷して授与している。
#

みどころ

祈祷所である霊符堂(本堂)に、願い事がかないお焚き上げ供養を待つ「だるま」が無数に積み上げられいる風景は圧巻で、ここならではものだろう。毎年1月15日をはじめ年に数回、お焚き上げ供養が行われる。
 上毛かるたでは、北斗星(北極星と北斗七星)とだるまの絵札で「縁起だるまの 少林山」とうたわれている。
 境内には、約320年前に建立の茅葺屋根の観音堂や、達磨大師坐像をお祀りし古今東西のだるまが展示される達磨堂、世界的建築家ブルーノ・タウトが暮した洗心亭*、招福の鐘楼、禅道場の大講堂、天頭塚古墳と薬師塚、百庚申、総門と不動尊、放生池など参拝・パワースポットが満載。
 「文来庵雪萬」・「内藤鳴雪」・「中曽根夜荘」・「清水寥人」・「市村不先」・「吉村ひさ志」らの句碑があるほか、少林山に愛着をもっていたブルーノ・タウトの「我は日本の文化を愛す」の碑がある。質素で静寂につつまれた洗心亭を訪れ彼の思いを偲ぶ時、感慨がわいてくる。
 四季折々の草花、春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の初詣など心癒される開運招福の寺。
#

補足情報

*北辰鎮宅霊符尊:天神地神、日月星辰の総帥として天の中心に位置する北斗星を神格化したもので、妙見菩薩ともお呼びする。過去・現在・未来三世の運勢を主宰し、吉凶禍福・家相方位を司る霊神で、善星を招来して幸福を守護し、悪星を除いて悪事災難を消滅する大威徳を具えている霊符尊。生まれ歳による厄難・転居・新築・改築・家相除けなどの方災安鎮の御本尊。
*達磨大師:菩提達磨は1500年ほど前に、インドの香至国の第三王子としてお生まれになった実在の方である。出家してお釈迦様の教えを弘めるため中国に渡り、嵩山少林寺で面壁九年の行をされ、現在の世界的「禅」の興隆の基礎を築かれ、禅宗の初祖達磨大師と仰がれている。
*少林山七草大祭だるま市:毎年正月6~7日に行う、約320年前より受け継がれる星祭大祈祷を厳修する星祭りの縁日。約220年前、九代住職東嶽和尚が伝授した張り子のだるまを売出し、だるま市も始まる。すると、農民たちは少林山の縁日を皮切りに、だるまを売りに県内の初市や各地の縁日に行き、やがて全国へ行商に行くようになり、新年のだるま市が全国で広まっていく。昭和時代までは農家や八百屋などの副業だっただるま作りも、現在ではだるま店となり、1993(平成5)年に群馬県ふるさと伝統工芸品に指定されると、高崎の産業として全国に知られる高崎名物の一つになる。
*洗心亭:ドイツの建築家ブルーノ・タウトが1934(昭和9)年から2年3カ月の間居住した家。元々は東京農業大学第3代学長佐藤寛次先生が東京大学の教授時代に建てた別宅。タウトは日本の工芸デザインやモダニズム建築に多大なる影響を残し、桂離宮をはじめ、伊勢神宮、白川郷の合掌造り等日本美を再発見し、世界にその伝統美を紹介した。タウトが設計したベルリンの近代集合住宅群4件は、2008(平成20)年ユネスコの世界遺産*に登録されている。
*世界遺産:世界遺産条約(1972(昭和47)年)に基づき、人類共通の宝物として未来の世代に引き継いでいくべき文化財や遺跡、自然環境として、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会により登録された有形の資産。文化遺産・自然遺産・複合遺産の3種がある。
関連リンク 少林山達磨寺(WEBサイト)
参考文献 少林山達磨寺(WEBサイト)

2020年04月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。