龍王峡りゅうおうきょう

今から2200万年程前に海底火山によって噴出された火山岩が、鬼怒川の流れによって浸食されて現在のような景観になったといわれる。
 まず初めに安山岩が流出し、その後流紋岩の活動を経て、火山爆発による火山灰が堆積して緑色凝灰岩ができたとされる。さらには、その上に流紋岩が流出したと言われる。その後もマグマの活動により、岩脈が各所に貫入した。約1400万年程前になると、造山運動により山地となり、鬼怒川の浸食により、現在の姿になった。
 別名「岩の公園」とも言われ、上流にある白岩付近から虹見橋までの間は、上流から「紫龍峡」(安山岩)、「青龍峡」(緑色凝灰岩)、「白龍峡」(流紋岩)と分けられ、それぞれの岩の種類が異なることから、岩の色も異なった景色を見ることができる。
 「龍王峡」の名は、龍がのたうつような姿を思わせることから名づけられた。
 鬼怒川温泉と川治温泉の間に約6km続く、圧巻の景色である。紅葉の見頃は10月下旬から11月上旬である。
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みどころ

龍王峡には自然散策路が整備されている。龍王峡入口から九十九折の石段を下りて渓谷に入ると、虹見ノ滝の前に出る。滝前の断崖上には五龍王神社の小さな社が祀られている。滝の背後をまわって虹見橋に出る。虹見橋からは下流左岸側に、虹見の滝と五龍王神社を見ることができる。
 ひとつ上流にあるむささび橋と虹見橋間の遊歩道は、東岸と西岸に分かれる。東岸遊歩道には竪琴ノ滝がある。西岸遊歩道はむささび橋までで、むささび橋から白岩までは東岸を歩く。むささび橋付近は「白龍峡」と呼ばれ、少し上流の「大観」は龍王峡を代表する絶景である。
 「青龍峡」を過ぎ、五光岩を見て白岩展望台まで登る。なお、白岩の下あたりは「紫龍峡」という。
 滞在時間によって、いくつかのコースを選択できる。1時間30分コースは、龍王峡駅を出発し、虹見橋~むささび橋をぐるっと1周。また、時間のない方は虹見橋で引き返して約40分で楽しむことができる。時間のある方は、約3時間30分で、龍王峡駅から川治温泉間を歩いてみるのがオススメ。(溝尾 良隆)
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補足情報

*ミズバショウの群生地や、モリアオガエルが生息する池もある。
*青龍峡の緑色凝灰岩は、宇都宮市の大谷石と同じ。