栃木市の町並みとちぎしのまちなみ

まちの北から南へ渡良瀬川の支流巴波川が流れ、西に太平山がそびえている。江戸時代には巴波川の河川交通により、卸問屋が集まる町として発達し、また例幣使街道の宿場町としても栄えた。
 1871(明治4)年には栃木県庁が置かれ、栃木県の県庁所在地として急速に繁栄したが、1884(明治17)年に宇都宮に県庁が移り、県名だけが残った。
 重要伝統的建造物群保存地区は「栃木市嘉右衛門町」で、旧栃木宿の北に位置する。天正期(1573~1592年)の嘉右衛門新田村を起源とし、南北に巴波川と日光例幣使街道が通る。街道沿いの敷地割りとともに、陣屋や江戸時代末期から近代にかけて在郷町として繁栄した蔵造りの見世蔵や土蔵、真壁づくりや洋風の店舗が残り、変化ある町並みを形成している。
 主な建造物には、塚田家住宅、横山郷土館、栃木高校記念館、岡田記念館、あだち好古館、栃木市郷土参考館などがある。
 2021(令和3)年11月1日には、とちぎ蔵の街美術館(おたすけ蔵)がリニューアルし「栃木市蔵の街市民ギャラリー」として開館。また、2022(令和4)年4月27日には、旧栃木市役所別館(旧栃木町役場)が「栃木市立文学館」として開館した。
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みどころ

市街のあちこちにある土蔵や洋風建築は当時の町の活力の証しであり、巴波川の鯉とともにうるおいと風情を与えている。町並みに特異性があり、歩いていても楽しい。重伝建地区ではないが、栃木市の代表的景観は、巴波川と川に建ち並ぶ蔵造り群であり、巴波川に映る蔵の美しさは格別である。(溝尾 良隆)
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補足情報

*巴波川と西の永野川によって潤されるこの地方の平野は、米・麦・麻・野菜を主体とした県下屈指の農産物地帯である。
*年中行事:桜まつり(4月上旬、太平山)、蔵の街サマーフェスタ(8月上旬、市内)、秋祭り(11月中旬、市内各所、隔年開催)。
*塚田家住宅:江戸時代の木材回漕問屋で、川沿いに113mの黒塀の内側に旧主屋のほか白壁の土蔵が8棟立ち並び、一部には塚田歴史伝説館として利用されている。
*横山郷土館:主屋北側は麻問屋として使用し、南側は1900(明治33)年に創業した栃木協立銀行として使用した。
*岡田記念館:1689(元禄2)年に設置された畠山陣屋。
*栃木市の代表的景観は、巴波川と建ち並ぶ蔵造り群であるが、ここは重要伝統的建造物群保存地区には選定されていない。市はここまで拡大してもらうよう要請をしている(2019(平成31)年3月現在)。
*栃木市立文学館に隣接する旧栃木市役所本庁舎跡地に「栃木市立美術館」が、2022(令和4)11月3日に開館予定。浮世絵師・喜多川歌麿をはじめ、明治以降に活躍した清水登之(しみずとし)、田中一村(たなかいっそん)、刑部人(おさかべじん)、鈴木賢二らの絵画や二代飯塚鳳齋(いいづかほうさい)、飯塚琅玕齋(いいづかろうかんさい)らの竹工芸など、市ゆかりの作家たちの作品を収蔵。
関連リンク 一般社団法人栃木市観光協会(WEBサイト)
参考文献 一般社団法人栃木市観光協会(WEBサイト)
栃木市(WEBサイト)
とちぎ旅ネット(公益社団法人栃木県観光物産協会)(WEBサイト)
蔵の街遊覧船(特定非営利活動法人蔵の街遊覧船)(WEBサイト)
「伝統的建造物群保存地区 歴史の町並み 平成30年度(2018)版」全国伝統的建造物群保存地区協議会

2022年06月現在

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