ミュージアムパーク茨城県自然博物館みゅーじあむぱーくいばらきけんしぜんはくぶつかん

1994(平成6)年に「茨城の風土に根ざした自然に関する総合的な社会教育機関」として「過去に学び、現在を識り、未来を測る」ことを基本理念に、茨城県最大の自然環境保全地域である菅生沼*の西岸に開設された。16.4万m2という広い敷地ではあるが、隣接する菅生沼との一体的な景観を意図して博物館の建物・施設は設計されている。エントランスには、姉妹館である中国内蒙古自治区博物館(現内蒙古博物院)の協力のもと、「過去」のシンボルとして松花江マンモス(世界最大級のマンモス)やヌオエロサウルス(大型の植物食恐竜・世界最大級)、メタセコイア(生きている化石)などが展示されている。 展示空間は基本理念に沿い大きく6つの展示テーマ*に対応して分けられており、それぞれの展示空間は曲線を描く回遊路によって結ばれている。
 博物館の活動目標を「自然と共生し,市民と協働する博物館であること」としているが、そのことがもっとも現れているのは野外の施設と展示だ。15.8万m2(東京ドームの約3.5倍)に及ぶ広大な野外施設は、雑木林や谷津田などの里山環境の部分と樹木見本園や広場などからなり、学芸員によるネイチャーガイドや、化石のクリーニング、バードウォッチング、貝化石探しなどの体験イベントも用意されている。隣接する菅生沼にも出入り自由で、歩行者専用の「菅生沼ふれあい」橋では、沼に生息している野鳥など多種多様な生き物たちを間近で見ることができる。なお、この橋で東岸のキャンプ場などがある体験学習施設「水海道あすなろの里」へ渡ることができる。
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みどころ

本館の展示は、来館者が自ら観察したり、体験できるように工夫されており、茨城の風土、自然、さらには地球や宇宙の生成や現在、未来について幅広い来館者が楽しみながら理解できるようなっている。
 野外施設が充実しており、隣接した菅生沼と合わせ、変化に富んだ自然と、それを楽しく体験できるようになっている。ファミリーにとっては、多様な利用、活用ができる博物館だ。(志賀 典人)
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補足情報

*菅生沼:利根川の支流飯沼川によって形成された総面積約232万m2の沼。北側の上沼と南側の下沼からなっている。野鳥をはじめ、沼に生息する魚や昆虫、岸辺の野草など数多くの種類を見ることができる。毎年300羽を超えるコハクチョウの越冬地ともなっている。
*6つの展示テーマ:第1展示室「進化する宇宙」 第2展示室「地球の生いたち」 第3展示室「自然のしくみ」 第4展示室「生命のしくみ」 第5展示室「人間と環境」。さらに、6つ目の展示テーマとして、ディスカバリープレイスでは、茨城の自然に関するさまざまな動物・植物・地学資料などを紹介するほか、身近な動物や植物などを来館者自ら観察できる展示も行っている。随時企画展示も行われている。