山都そばやまとそば

JR磐越西線山都駅から北西へ約10km、喜多方市山都町の山懐に入った宮古地区*は古くから良質なソバの産地として知られていた。この良質なソバを活用し、1984(昭和59)年から当時の山都町商工会の主導により「むらおこし」としてブランド化に取り組んだのが「山都そば」である。*
 「山都そば」の特色は、製粉の歩溜まりを約70%とし甘皮などの外層部分が少ない一番粉を中心に使用すること、十割のソバ粉を湯ごねと水ごねを併用した手打ち生そばであること、そばを提供する際は「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」の三たてそばを大事にしていることである。このような製法・調理法であるため、「山都そば」は白っぽいソバに仕上がり、コシがあって歯ごたえがしっかりしているのが特徴だ。ブランド化に向け、山都町では「生産~刈取り~調整~保管(雪室など)~そば打ち」と一貫した取組みができる体制を整えている。
 「山都そば」を食べることができる店は山都町全体で16軒。山都駅近くには「飯豊とそばの里センター」があり、そのなかに「そば伝承館」*「そば資料館」*「雪室」などがあり、「山都そば」の歴史、製法、そば打ち、食味を体験することができる。なお、産地の宮古地区の店*では、古くからの名称である「宮古そば」の名も掲げている。
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みどころ

山都そばは、そば粉十割とは思えない白さであるが、ソバの香りはしっかりとしている。食感は十割そば特有のボソボソ感が全くなく、弾力があり、しこしことした歯ごたえである。食べ方、汁やそのほかの付け合わせなどは、それぞれのお店で工夫し、競い合っている。毎年10月中旬から11月下旬まで新そばまつりも開催される。
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補足情報

*宮古地区:標高は400m前後、比較的冷涼な気候で夏から秋の朝方には霧が発生することが多く、日中と朝晩の寒暖の差があり、水はけのよい土壌にも恵まれ、ソバの生育には最適とされている。また、積雪が多い飯豊連峰からの伏流水も豊富なところである。
*令和5年3月には文化庁が主導する次世代への食文化の継承を目的とした「100年フード」に認定され、地域の貴重な食文化となっている。
*そば伝承館:「山都そば」を堪能できる食事施設。そば打ち名人による実演もあり、手打ち体験もできる。
*そば資料館:「山都そば」の栽培法、製法について紹介するとともに、ソバの野生祖先種、全国の郷土ソバ、変りソバやソバに関する道具類などを展示、解説している。
*宮古地区では、季節の天ぷら、山菜、刺身こんにゃくを中心とした「御膳そば」も提供している。
関連リンク 喜多方市(WEBサイト)
参考文献 喜多方市(WEBサイト)
いいでとそばの里(喜多方市ふるさと振興株式会社)(WEBサイト)
宮古そばの里組合(WEBサイト)

2023年08月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。