燧ヶ岳ひうちがたけ

尾瀬沼の北にそびえる山で、尾瀬ヶ原・尾瀬沼の原型をつくり出した火山である。花崗岩を基盤として北は成層火山、南は小さい火口湖を抱く鐘状火山の様相を示しており、山頂は三角点のある爼嵓(まないたぐら)、最高峰(標高2,356m)の柴安嵓(しばやすぐら)、ミノブチ岳、赤ナグレ岳、御池岳の5峰からなっている。
 登山道はブナ・オオシラビソ・コメツガなどの原生林の中に続き、森林が切れてハイマツ地帯に入ると頂上となる。南西に至仏山とその下に広がる尾瀬ヶ原、そして武尊山(ほたかやま)、南東に日光白根山をはじめ奥日光の山々を、北東には会津駒ケ岳の連山から遠く磐梯山まで、北西は只見川の渓谷、平ガ岳、越後三山、上越国境の山々が眺望できる。
 登山コースとしては尾瀬沼の東から登る長英新道、尾瀬沼の沼尻からナデッ窪を登る直登コース、御池から熊沢田代を経由する御池コース、尾瀬ヶ原側の見晴から柴安嵓に向かう見晴新道がある。
#

みどころ

燧ヶ岳は5つの頂を持つ連峰だが、尾瀬ヶ原からは双峰のような山容を見せ、湿原の先にどっしりと構えていて、稜線はあくまでも秀麗な山姿である。深田久弥の『日本百名山』でも広大な尾瀬ヶ原を挟んで立つ燧ケ岳と至仏山を対照的にとらえ、「燧の颯爽として威厳のある形を厳父」 としている。また、「尾瀬沼から燧岳をなくしたら、山中の平凡な一小湖に化してしまうだろう」とまで書き綴っている。爼嵓、柴安嵓、ミノブチ岳のピークからは尾瀬沼や尾瀬ヶ原を見渡す絶景がみられる。さらには会津の山々はもちろん、奥日光、越後の山々の大パノラマが開ける。
 麓には尾瀬沼や尾瀬ヶ原以外にも、湿原が多く、高山植物や湿性植物の宝庫。登山の途中目を楽しませてくれる。
関連リンク 尾瀬檜枝岐温泉観光協会(WEBサイト)
参考文献 尾瀬檜枝岐温泉観光協会(WEBサイト)
公益財団法人 尾瀬保護財団(WEBサイト)
『ふくしまの自然散歩ー会津平野と会津山地ー』蜂谷 剛 樫村 利道 歴史春秋社
『福島県の山』奥田 博 渡辺 徳仁 山と渓谷社
『日本百名山』深田久弥 新潮文庫

2023年07月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

あわせて行きたい