烏帽子山公園のサクラえぼしやまこうえんのさくら

JR山形新幹線赤湯温泉駅から東へ約1.4km、赤湯温泉の裏手にあり、烏帽子山八幡宮*の社域が公園になっている。桜の名所で、米沢(置賜)盆地をはじめ吾妻、飯豊、朝日連峰の好展望地である。
 この公園は1875(明治11)年に温泉客向けにサクラなどの花木を植えたのが始まりである。その後、町が2度の大火に遭うなどして公園の拡張事業は困難を極めたが、地元の有志たちの努力が実り、1886(明治19)年に完成した。公園を覆うように植えられている「千本桜」は、完成時と1935(昭和15)年に植えられたものがもとになっている。現在はエドヒガンザクラ*など25種、約1,000本が植えられており、毎年4月下旬ごろには公園全体が薄紅色に染まり、まさに満艦飾となる。
 近年、公園内の調査を実施し、後世に残すために植樹等の整備が行われている。
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みどころ

エドヒガンザクラ、ソメイヨシノなど多様なサクラを観賞できる。とくに烏帽子山公園のサクラの特色はエドヒガンザクラが225本(エドヒガン系のシダレザクラ80本を含む)も群生していることである。在来種のエドヒガンザクラは一本桜では有名なもの多いが、群生は、全国的にも珍しい。
 米沢(置賜)盆地をはじめ、吾妻、飯豊、朝日連峰などの眺望がよく、残雪の山々の白とサクラのピンクのコントラストが素晴らしい。
 サクラの木にはいろいろな名称がつけられており、その花と「いわれ」を見て歩くのも楽しい。(志賀 典人)
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補足情報

*烏帽子山八幡宮:前九年の役、後三年の役を源義綱(加茂次郎義綱)は父源頼義、兄義家らとともに戦い陸奥を鎮定し、その後、陸奥守となり、1093(寛治7)年に烏帽子山公園の北東にあたる北町八幡沢に祠を建て勝運の長久を祈ったのが起源とされている。この折、赤湯温泉も発見したともいわれている。地域の住民の守護神として崇敬され続け、1890(明治23)年には現在地に社殿を新築遷座、その後焼失などがあり、2005(平成17)年に社殿を再建。大鳥居は高さ10.75mと規模が大きいうえ、継ぎ目のない一本の石柱であることが珍しい。
*エドヒガンザクラ:日本の在来種で、現在もっとも多いソメイヨシノの親にあたる品種。葉より先に花が咲くことはソメイヨシノに受け継がれており、薄紅色から白色になっていく5弁の花が美しい。樹齢も長く、公園のサクラも100年を超えるものもある。