滑川温泉なめがわおんせん

国道13号線の山形県と福島県の県境近くから県道、林道で約10km。東大巓(標高1,927m)の東北麓、標高850mほどのところにあり、前川の渓谷右岸にすっぽりとはまるように建つ一軒宿の温泉。開湯は1763(宝暦13)年。温泉に至る道は旧米沢街道の一部で、途中、旧道の小径に石畳も残されている。
 静養、湯治向きの温泉で、家形山(いえがたやま)方面への登山のベースにもなる。旅館は宿泊棟と湯治棟からなり、湯治棟等は築100年を超える木造建築である。浴場は全部で4つ。渓流沿いに露天風呂として岩風呂と檜風呂があり、内風呂は混浴の大浴場と女性専用風呂がある。
 泉質は含硫黄ーナトリウム・カルシウムー炭酸水素塩・硫酸塩泉(低張性中性温泉)、泉温は54度。11月上旬から4月下旬までは冬季休業。
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みどころ

宿のすぐ脇を前川の急流が流れており、清涼感にあふれる。また、露天風呂の岩風呂は、渓流と同じ目線で浸ることができ、周囲の緑や紅葉が迫り、大自然との一体感を味わえる。
 湯治棟の木造建築は手斧仕上げで、柱や戸に漆も施され美しい艶を出している。一部の部屋は舟形天井となっており、歴史を肌で感じることができ、味わい深い。(志賀 典人)
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補足情報

*道路状況は舗装されているものの、幅員が狭い山道なので、運転には注意が必要だ。
*沢の奥には大滝があり、以前は展望台からの眺望が素晴らしかったが、現在は温泉脇の吊り橋が不通のため、現在は展望台へ行くことはできない。
*旅館へはほとんどが自家用車で訪れるが、最寄り駅としては奥羽本線の峠駅。ここはかつて同線の最大な難所といわれた場所で、スイッチバックの遺構も見られる。駅自体は、200mにも及ぶ雪除けのスノーシェードに覆われ、珍しい形の駅舎だ。駅は山に囲まれ民家も見あたらないが、駅前に「峠の茶屋」があり、100年以上の歴史のある「力餅」を販売している(滑川温泉から約4km)。
関連リンク 滑川温泉 福島屋(WEBサイト)
参考文献 パンフレット「滑川温泉 福島屋」

2020年12月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。