山形花笠まつりやまがたはながさまつり

毎年8月5日~7日の三日間にわたり、山形市内で繰り広げられる祭り。祭りの見どころは夕方からはじまる花笠パレードである。市の中心街である十日町角から市役所前までの約1.2kmを「花笠音頭」に合わせて、3日間延べ約1万数千人の踊り手が集団ごとに、山車に先導されて踊る。踊り手は、特産の紅花をあしらった花笠を手に、団体ごとに揃いの浴衣で舞い踊る。パレード開始直後の輪踊りやパレードの最後尾では、飛び入りの参加も可能だ。秋田の竿燈、青森のねぶた、仙台の七夕と並び、東北の夏の「四大祭り」の一つとなっている。「花笠音頭」は、「花笠踊り*唄」とも呼ばれ、起源については諸説あるが、明治・大正期に、山形県村山地方で歌われていた「土突(どんつ)き唄」が元唄だと伝えられている。大正中期、尾花沢の潅漑用水工事の際に歌われた「土突き」の作業歌に船方節や八木節などが取り入れられ、民謡化*したのは昭和初期だったといわれている。これを1963(昭和38)年から開催された「蔵王夏まつり」のなかのイベントとして「花笠音頭パレード」が実施され、1965(昭和40)年からは、単独の行事として『山形花笠まつり』を行うようになった。
 花笠音頭や花笠踊りの発祥の地と言われる尾花沢市においても、毎年8月27日~28日に「おばなざわ花笠まつり」が開催され、大ぶりの花笠を力強く回すという花笠踊りの振り付けの源流とされる5流派(上町・寺内・原田・安久戸・名木沢)のパレードをみることができる。
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みどころ

踊り手のグループ、団体が、勇壮な太鼓の響きと、威勢のいい「ヤッショー、マカショー」の掛け声に合わせ、群舞を繰り広げる。約1.2kmのパレードコースの観客ともども、踊り、囃子、唄に酔いしれ最高潮を迎える。最近は正調の踊り以外にも、ダンス風の創作花笠踊りや、花笠踊り発祥の地・尾花沢のダイナックな笠回し系花笠踊りも増え一層華やかになっている。(志賀 典人)
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補足情報

*「花笠踊り」:当初、踊り方も地域によって10数種類ほどあったが、1963(昭和38)年に誰でも手軽に踊れる現在の振り付けの「正調花笠踊り(薫風最上川)」が誕生。1998(平成10)年には男性的な踊りの「正調花笠踊り(蔵王暁光)」も作られた。
*民謡化:花笠まつりで歌われる「花笠音頭」の歌詞は、もとからあった2歌詞と公募して加えた13歌詞の15歌詞で構成。歌詞には蔵王、さくらんぼ、温泉地、月山、鳥海山など山形県内の名所や名物が歌い込まれている。「ヤッショ、マカショ」の囃子詞は、元唄の「土突(どん)き唄」の掛け声から出たといわれる。