森吉山
秋田県の中央部の東、米代川に合流する阿仁川の上流にそびえる形の整った成層型楯状火山*1といわれ、那須火山帯*2に属している。森吉山はカルデラ*3内の中央火口丘である最高峰向岳(標高1,454m)を中心に、一ノ腰(標高1,264m)、前岳(標高1,308m)、カンバ森(標高1,187m)、ヒバクラ岳(標高1,326m)小池ヶ原(標高1,280m)の外輪山からなる山系で、外輪山の山腹には緩傾斜平坦地が分布している。古くから秋田を代表する山*4と見られており、前岳山頂には森吉神社の奥宮があって、山岳信仰の対象にもなっていた。
山頂からは田沢湖・岩手山・白神山地・男鹿半島などの眺望*5が得られ、 山腹はブナ林*6、標高1,000mから山頂部まではアオモリトドマツの原生林が広がり、頂上付近では初夏から秋にかけては約300種類の高山植物*7が咲き競い、1月上旬~3月上旬には「森吉山の樹氷」が見られる。
森吉山への代表的な登山コースは秋田内陸縦貫鉄道阿仁合駅から約18kmのブナ帯登山口から入る「ブナ帯コース」、同阿仁前田駅から約25kmのコメツガ山荘から入る「コメツガコース」、同阿仁前田駅から約38kmの森吉山麓高原登山口から入る「ヒバクラ岳コース」などがある。なお、ブナ帯コースは登山口より手前(阿仁合駅から約15km)の阿仁スキー場ゴンドラ*8山麓駅舎からゴンドラ山頂駅舎まで6kmほどをゴンドラが利用できる。このゴンドラは冬季には阿仁スキー場のスキー客も利用するが、樹氷見学にも使うことができる。
山頂からは田沢湖・岩手山・白神山地・男鹿半島などの眺望*5が得られ、 山腹はブナ林*6、標高1,000mから山頂部まではアオモリトドマツの原生林が広がり、頂上付近では初夏から秋にかけては約300種類の高山植物*7が咲き競い、1月上旬~3月上旬には「森吉山の樹氷」が見られる。
森吉山への代表的な登山コースは秋田内陸縦貫鉄道阿仁合駅から約18kmのブナ帯登山口から入る「ブナ帯コース」、同阿仁前田駅から約25kmのコメツガ山荘から入る「コメツガコース」、同阿仁前田駅から約38kmの森吉山麓高原登山口から入る「ヒバクラ岳コース」などがある。なお、ブナ帯コースは登山口より手前(阿仁合駅から約15km)の阿仁スキー場ゴンドラ*8山麓駅舎からゴンドラ山頂駅舎まで6kmほどをゴンドラが利用できる。このゴンドラは冬季には阿仁スキー場のスキー客も利用するが、樹氷見学にも使うことができる。
みどころ
深田久弥の「日本の百名山」の後記の中で「森吉山、姫神山、船形山など、いい山ではあるが少し背が足りない」と選定しなかった理由を述べているが、山麓の深さや豊かなブナなどの樹林帯、高山植物の豊富さ、山頂からの眺望を考えれば、決して百名山に劣らない。とくにゴンドラからアクセスしやすい一ノ腰や前岳から主峰向岳にかけての尾根筋は快闊な山容で、山麓に広がる美しい樹林帯を眼下に遠く日本海まで望むことができる。尾根筋には小湿原も点在し、高山植物の宝庫となっている。また、山麓の「クマゲラの森」や滝巡りなどのトレッキングも楽しい。
補足情報
*1 成層型楯状火山:成層型火山は火砕流及び降下火砕物質が山頂火口の周囲に積み重なって生じた火山で楯状火山は粘性の低く爆発的な噴火をしないマグマが造る傾斜が緩やかな山体。森吉山はこれらが複合して形成されたという。
*2 那須火山帯:南は浅間山付近から北は北海道の樽前山あたりまで、ほぼ東北の中央部を貫く火山帯である。八甲田山・八幡平など東北の多くの火山がこれに属しているが、日本海側は鳥海火山帯が通っている。
*3 カルデラ:火山が溶岩などを噴出し、内部に生じた空洞が陥没してほぼ同形の盆地となったもの。
*4 秋田を代表する山:江戸後期の紀行家菅江真澄は「雪能飽田寢(雪の秋田根)」で「根山ひろく連瀬、丹瀬なといふ太谷いと幽にして、八重やまの連りたり。こは飽(秋)田郡の山のをさ(長)やいはん。わた(海)の沖邊(辺)より此山を見れば、蝦蟆(がま)の蹲(うずくまり)りたるに似たれば、船人等は蟾(ひき)が嶽とあふ(仰)き見て、これを舟路のしるべ(標)として湊入をせりける」としている。
*5 眺望:菅江真澄は「雪能飽田寢(雪の秋田根)」では「遠かたのはるばると見やられて、ひんかし(東)は岩手山、西は近きは恩荷(男鹿)の島やま、寒風山、北は小田山(こだやま:八甲田山)、岩木やま、南は栗駒山の見ゆなといと遠し、坤(南西)にけふり(煙)のむらむらとたつは、不二(富士)をあさむく(欺く)鳥海の岳にこそあれ」と眺望の広さを描写している。
*6 ブナ林:森吉山の山腹1,000m以下ではブナ林帯が形成されているが、日本最大のクマゲラの繁殖が確認された森吉山東麓の、ノロ川と黒石川流域に広がるブナ林を「クマゲラの森」と呼び、1,175万m2はクマゲラの特別保護区になっており、ブナ林が覆っている。ブナ林は保水力が高く、多くの動植物を育んでいる。「クマゲラの森」には「森吉山野生鳥獣センター」があり、貴重な野生鳥獣の棲息環境の保全を目的として、模型や写真、映像などを使い、森吉山の環境と生き物の関係などを展示説明している。ここを基地にブナ林を巡り、桃洞滝などを訪れる散策路が整備されている。
*7 高山植物:登山中にはシラネアオイ、マイヅルソウ、ミツバオウレン、オオバキスミレ、イワカガミ、ノビネチドリ、ゴゼンタチバナ、ツマトリソウ、イワキンバイ、ハクサンシャジン、ハクサンシャクナゲなどに出合い、山頂部ではチングルマ、イワカガミ、ヒナザクラ、イワイチョウ、ハクサンオオバコ、モウセンゴケなどが咲く。
*8 阿仁スキー場ゴンドラ:全長3,473m(6人乗り) 所要時間片道約20分 山頂駅標高 1,167m。紅葉期は、登山のできる服装、冬は防寒着が必要。阿仁合駅からは、1日数便乗合タクシーが出ている(事前予約が必要)。
*2 那須火山帯:南は浅間山付近から北は北海道の樽前山あたりまで、ほぼ東北の中央部を貫く火山帯である。八甲田山・八幡平など東北の多くの火山がこれに属しているが、日本海側は鳥海火山帯が通っている。
*3 カルデラ:火山が溶岩などを噴出し、内部に生じた空洞が陥没してほぼ同形の盆地となったもの。
*4 秋田を代表する山:江戸後期の紀行家菅江真澄は「雪能飽田寢(雪の秋田根)」で「根山ひろく連瀬、丹瀬なといふ太谷いと幽にして、八重やまの連りたり。こは飽(秋)田郡の山のをさ(長)やいはん。わた(海)の沖邊(辺)より此山を見れば、蝦蟆(がま)の蹲(うずくまり)りたるに似たれば、船人等は蟾(ひき)が嶽とあふ(仰)き見て、これを舟路のしるべ(標)として湊入をせりける」としている。
*5 眺望:菅江真澄は「雪能飽田寢(雪の秋田根)」では「遠かたのはるばると見やられて、ひんかし(東)は岩手山、西は近きは恩荷(男鹿)の島やま、寒風山、北は小田山(こだやま:八甲田山)、岩木やま、南は栗駒山の見ゆなといと遠し、坤(南西)にけふり(煙)のむらむらとたつは、不二(富士)をあさむく(欺く)鳥海の岳にこそあれ」と眺望の広さを描写している。
*6 ブナ林:森吉山の山腹1,000m以下ではブナ林帯が形成されているが、日本最大のクマゲラの繁殖が確認された森吉山東麓の、ノロ川と黒石川流域に広がるブナ林を「クマゲラの森」と呼び、1,175万m2はクマゲラの特別保護区になっており、ブナ林が覆っている。ブナ林は保水力が高く、多くの動植物を育んでいる。「クマゲラの森」には「森吉山野生鳥獣センター」があり、貴重な野生鳥獣の棲息環境の保全を目的として、模型や写真、映像などを使い、森吉山の環境と生き物の関係などを展示説明している。ここを基地にブナ林を巡り、桃洞滝などを訪れる散策路が整備されている。
*7 高山植物:登山中にはシラネアオイ、マイヅルソウ、ミツバオウレン、オオバキスミレ、イワカガミ、ノビネチドリ、ゴゼンタチバナ、ツマトリソウ、イワキンバイ、ハクサンシャジン、ハクサンシャクナゲなどに出合い、山頂部ではチングルマ、イワカガミ、ヒナザクラ、イワイチョウ、ハクサンオオバコ、モウセンゴケなどが咲く。
*8 阿仁スキー場ゴンドラ:全長3,473m(6人乗り) 所要時間片道約20分 山頂駅標高 1,167m。紅葉期は、登山のできる服装、冬は防寒着が必要。阿仁合駅からは、1日数便乗合タクシーが出ている(事前予約が必要)。
関連リンク | 北秋田市(WEBサイト) |
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関連図書 | 「秋田県の山」山と渓谷社 |
参考文献 |
北秋田市(WEBサイト) 森と水の郷あきた(あきた森づくり活動サポートセンター)(WEBサイト) ぐるっと森吉山ポータルサイト(NPO森吉山ネイチャー協会)(WEBサイト) 森吉山ゴンドラ散歩(特定非営利活動法人森吉山)(WEBサイト) 美の国あきたネット(秋田県庁)(WEBサイト) |
2023年07月現在
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