法体の滝ほったいのたき

JR羽越本線羽後本荘駅から南東に約48km、由利高原鉄道矢島駅から約25km、鳥海山の東麓、子吉川の起点から2kmほどの渓流沿いに流れ落ちる末広がりの瀑布。約10万年前の鳥海山の噴火で東に向かって流れ出た法体溶岩流によって形成された末端崖と側方崖が下玉田川や赤沢川などによって侵食され、末端中央部には上玉田川により溶岩原を横断するように玉田渓谷が刻まれた。溶岩原の側方崖には法体の滝が生成された。
 滝の落差は約57m、滝幅は最大30mほどで滝の流れは100mに及ぶ。滝は上から一の滝、二の滝、三の滝と3段に分かれ、下に向かい末広がりの形となっている。一の滝、二の滝付近には河床に安山岩質の溶岩が削り取られてできた甌穴*1もみられ、鳥海山の頂きも眺望できる。三の滝の岩盤には柱状節理が観察できる。滝の上流には2kmにわたり玉田渓谷が展開する。
 法体の滝の名の由来は、「弘法大師が不動明王から聞いた」という伝説がある。また僧侶が僧衣をまとった姿に似ていることからとも諸説あるが不詳。
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みどころ

キャンプ場もある広々とした法体園地から赤い吊り橋をわたり、急な石段を登って滝と滝壺を見渡す展望台にいたる。末広がりの3段の滝は水量が豊富であれば、圧倒的な迫力がある。映画「釣りキチ三平」のロケ地にもなったとのことも肯ける。展望台からは森林鉄道の軌道跡を利用した遊歩道がぶな林の中に通じ、甌穴や玉田渓谷や鳥海山の景観を楽しむことができるトレッキングコースとなっている。滝前の園地では夏場にはバーベキューや水遊びを楽しむ家族連れも多い。
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補足情報

*1 甌穴:浅い谷川などにみられ、河底の岩盤の割れ目や穴に小さな砂や礫を含んだ水流が渦を巻き、長い年月をかけ、掘り込んだ円形あるいは楕円形の穴(ポットホール)のことをいう。法体の滝ではの直径30cm~2mの甌穴が観察できる。