仙台東照宮せんだいとうしょうぐう

JR仙山線東照宮駅の北約200mのところにある。大きな石鳥居は仙台藩2代藩主忠宗の夫人振姫の郷里である備前国犬島の花崗岩を運んでつくったもの。国指定重要文化財。塗御橋を渡り緩やかな階段をのぼると、両側に仙台伊達家の重臣たちによって寄進された石灯篭37基*が並ぶ。参道石段をのぼりきったところに、重厚な随身門*が立つ。拝殿は、ケヤキ造りで一間の向拝をつけ、背後に幣殿を設けている。1935(昭和10)年の失火後、1964(昭和39)年に復元された。
 本殿*は1654(承応3)年2代忠宗の建立で、正面には金箔の丸形彫刻を施した華麗な唐門を中央に、両側から黒漆塗の連子窓で上部を透かした透塀によって本殿を囲む。簡素だが荘厳なたたずまいである。日光の東照宮とは違い、本殿と拝殿が別棟になっている。
 家康との関連は、1591(天正19)年に起こった葛西・大崎一揆鎮圧のため、督戦にあたった家康が伊達政宗の案内で、帰途に宿陣した地であった。2代忠宗は、1637(寛永14)年の大水害復旧のため、江戸幕府から銀5000貫を借用した。返恩として、家光に東照宮建立を願い出て許された。
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みどころ

東照宮正面から門前町宮町を南北に貫く長い筋は、東街道を基軸とする旧来の町と政宗が割り出した奥州道中を基軸とする町との境界とも考えられている。宮町通りから老杉に囲まれた東照宮にかけては、もとは小田原玉手崎と呼ばれた丘陵地であった。毎月第4日曜日には骨董市が開かれ、市民には親しみのある東照宮である。
 境内には重要文化財に指定された5つの建造物があり、個々でも見ごたえのある建造物である。2層の重厚な随身門へ導く石段は重々しい。両サイドには37基の石灯籠が並ぶ。正面の唐門は華麗、透塀が囲み本殿には接することはできないが、荘厳なたたずまいは見てとれる。
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補足情報

*石灯篭37基:大半は創建時の「承応三年」銘をもつが、伊達騒動で処分を受けた家臣の7基が撤去され、あらたに6基が追加されている。
*随身門:けやきの素木(しらき)造り。三間一戸の八脚門。左右に随身像を置く。仏教の影響を受けた2層の楼門形式である。
*本殿:ケヤキづくりの3間2間。三方に縁を回し、正面に一間の向拝をつける。屋根は一重で入母屋造。銅瓦葺。堅実精巧な手法である。