白石温麺しろいしうーめん

東北を代表する素麺に似た細く短い(9cm)麺である。 1689(元禄2)年、元禄時代に親孝行な若者、鈴木浅右衛門が病床の父親に油を使わずに作った麺を食べさせて病を治したというのが始まり。この親孝行の話が殿様に伝わり献上したところ、みちのくの人の温かい思いやりを愛で「温麺」と名づけられた。1739(元文4)年、鈴木家に御用温麺の製造が命じられ、「年毎拵えて指上げる」ようになり、仙台藩5代藩主伊達吉村の治世には、諸大名家などへの進物として使われた。1756(宝暦6)年の公儀御目付「藩秘録」の陸奥領分名産物に温麺があげられ、18世紀後半には特産物化していたことがわかる。
 陸奥の小麦粉と塩を原料として、ほまち風(蔵王颪)で乾燥させた温麺は、米沢や信達地方(福島県北端)に移出され、盂蘭盆に供せられた。庶民向けの温麺は、藩主に献上した1尺1寸(約33cm)の御前温麺と区別し、3寸(約9cm)に裁断されたので、駄馬による輸送中の破損を少なくできた。
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みどころ

さっぱりとした味で、たれ・つゆで食べても汁物として食べてもおいしい。素麺とちがい生地を伸ばす工程で油を塗布しないので、消化がよく独特の風味がある。2021年現在、製造販売元5軒、白石市内のレストラン・食堂でも白石温麺料理が提供されているが、代表的な店が「うーめんマップ」に掲載されている。温麺製造工場での見学が可能な場合もあるが、事前の問い合わせが必要である。
 生糸・和紙とともに白石の三白の一つと称され、奥州白石温麺振興条例に基づいて、毎月7日は「白石温麺の日」に制定されている。