小川原湖おがわらこ

小川原湖は下北半島の付け根三沢市の北にある全国で11番目に大きい汽水湖*で、平均水深約11m、最大水深25mである。小川原湖への流入河川の主なものは、高瀬川(七戸川)、砂土路川、土場川、姉沼川などで、湖の西南部ないし南部から流入している。流出河川は高瀬川で、湖の東北端から約7kmで太平洋に注いでいる。
 入江の一部が海面低下と湾口の砂丘の発達により形成された海跡湖である。縄文後期(3,000年前頃)からの全世界的な気候の低温化に伴う海面低下により、内海が後退し湾口が海岸砂丘の発達により狭められ、徐々に現在の湖の姿を形成していったものと考えられている。
 湖の名前の由来は、アイヌ語の「オカラ」の「廻り回る」という意味の名から、川が入り「小川原」「小河原」になり小川原湖と呼ばれたと言われている。
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みどころ

平原の緑の中にある広大な湖で、湖水から流れ出る高瀬川周辺にはマテ小屋という網漁に使っていた小屋や朽ちかけた木製の脚なども残されており寂寞感を醸し出している。
 この湖は地元では「宝湖(たからこ)」といわれるほど漁獲量が豊富で、シラウオ、ワカサギは全国第一位(2016年度)、シジミ貝や天然ウナギ、サヨリ、沼エビなども獲れる。シジミ貝は「小川原湖産大和しじみ」として地理的表示保護制度*(GI)に登録されている。時期にもよるが、船から降り、下半身が水の中につかってシジミをとる漁師の姿を見ることができる。またオオハクチョウ、コハクチョウの渡来地としても有名で、幻の鳥と言われているオオセッカや、大型猛禽類のオオワシやオジロワシなどの鳥も見られることがあるという。
 青い森鉄道の上北町駅周辺には、キャンプや湖水浴のできる「小川原湖公園」や「道の駅おがわら湖」があり、小川原湖北西部の浜台地区には「わかさぎ公園」、「浜台湖水浴場」などもある。湖水浴場ではシジミの採取も楽しめる。
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補足情報

*潟湖:太古の海が砂州などの発達によって、取り残されてできた湖。北海道や本州日本海側に多い。
*地理的表示保護制度(GI制度):伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品が多く存在している。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」である。2021(令和3)年10月現在110産品が登録されている。Geographical Indication。