高山稲荷神社たかやまいなりじんじゃ

津軽半島の十三湖南の屏風山中、小高い丘陵の上に鎮座しており、御創建の年代は詳らかではない。入母屋造の現拝殿は1948(昭和23)年の再建で五穀豊穣、商売繫盛を願う参拝者が訪れる。
 津軽半島西側を走るメロンロード*から西側に入り、1.5km先の大きな鳥居の先に駐車場と参集殿が建ち、左に折れて96段の石段を上がった所に拝殿がある。拝殿から登ってきた石段の反対側に降りて行くと小さな池と竜神を祀った社があり、その左側に進むと千本鳥居、さらに少し登ると神明社へと続く。奥には事情があって納められた神使の狐の石像が安置されている。
 高山稲荷は鎌倉から室町にかけてこのあたりを統治していた豪族安藤氏の創建と伝えられる。元々は三王(山王)神社が祀られ、その後江戸時代に稲荷神社が創建され、江戸時代の稲荷信仰の隆盛とともに繁栄し、元の山王神社が後退したものと考えられる。この神社は農耕の神「宇迦之御魂命(うかのみたまのみこと)」、道開きの神「佐田彦命(さたひこのみこと)」、芸能上達の神「大宮能売命(おおみやめのみこと)」の祭神を祀っている。
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みどころ

拝殿まで登る石段と、そこから下る石段の先の千本鳥居と庭園の配置が珍しい。また千本鳥居周辺の俯瞰が美しく、樹木の緑の間に連続する高さ約2mの赤い鳥居の光景は圧巻である。千本鳥居は実際には数百本の鳥居の数ではあるが、くねくねと曲がりくねった道と庭園風の池が目を楽しませる。春は桜、夏は新緑、冬は真っ白な雪と、四季に映える朱色の鳥居が魅力で、写真映えするので人気がある。鳥居の奥にある神明社の高台からは全体を一望でき、また神明社の奥の無数に並ぶ"お狐様"(狐の石像)も印象的である。
 高山稲荷神社の手前、入口の赤い大鳥居の左手に、高山小公園(チェスボロー号記念公園)があり、チェスボロー号遭難慰霊碑*と展望台がある。展望台からは日本海と屏風山の茫々たる砂丘を望むことができ、あわせて訪れてみたい。
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補足情報

*メロンロード:青森県西津軽郡鰺ヶ沢町から五所川原市市浦に至る全長約22km広域農道「屏風山広域農道」の愛称。屏風山の砂丘地帯の中を走り、高山稲荷付近にある直線約38kmの直線区間が美しい。夏の間、砂丘地帯の名産「メロン」「すいか」の出店が連なりひときわ賑わう。
*チェスボロー号慰霊碑:1889(明治22)年、交易で来航中の米船チェスボロー号が暴風に遭難し、西浜中ノ森沖の浅瀬に座礁大破、乗員23名中19名が波に呑まれ4名が救助されたが、この時怒濤逆巻く中、数人の漁師たちが生命を賭して救助にあたった。その美談を讃えるとともに、あえなく異国の海に消えた19名の霊を慰めるための碑である(慰霊碑より)。
関連リンク 高山稲荷神社(WEBサイト)
参考文献 高山稲荷神社(WEBサイト)
Amazing AOMORI(青森県・公益社団法人青森県観光国際交流機構)(WEBサイト)
青森県つがる市(WEBサイト)
『青森県の歴史散歩』青森県高等学校地方史研究会(編) 山川出版社

2023年10月現在

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