十三湖のシジミ料理じゅうさんこのしじみりょうり

十三湖は青森県津軽半島北西部に位置する海水と淡水が混じり合った汽水湖*でヤマトシジミ*がよく採れる。漁獲量は2019(令和1)年の統計で十三湖は宍道湖に続き、全国第二位1,860tで約20%を占める(内水面漁獲量)。十三湖でのシジミ漁は、目合いサイズ12mm以上のものを漁獲しており、小さいサイズのシジミは湖に戻しているという。こうした特徴から十三湖産ヤマトシジミは地理的表示保護制度(GI制度)*に登録されている。
 十三湖大橋南、十三湖に面して漁港があり様々な魚とヤマトシジミが水揚げされており、港のそばにある十三地区水産物荷さばき施設でその日に採れたヤマトシジミが仕分けされ出荷されている。港の周辺やこの地を通る国道、県道にはヤマトシジミ料理やヤマトシジミ関連の商品を販売する店が数多く立地している。
 シジミはグリコーゲンやタウリンを大量に含み、肝臓病や黄疸、認知症などにも良いといわれる栄養価の高い食品で、最近では、シジミに含まれる栄養素が評価され、様々な商品が開発されている。特に、たっぷりとシジミの入ったラーメンやシジミエキス入りドリンクは人気があり、佃煮や味噌など食卓でも幅広く食されている。
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みどころ

十三湖は塩分や産卵条件など、シジミの生育環境が優れているため「十三湖産大和シジミ」は、シジミのダシやうま味がよく出ると言われている。特に、7月から8月は産卵期を迎えるため、さらに身が大きくコクのある濃厚なダシが出るためシジミの旬となる。また、厳冬期十三湖が結氷する時期は「寒シジミ」と呼ばれ、夏に比べると小ぶりではあるが旨味を蓄えて出汁がよくでるとされている。
 十三湖で食べることのできるシジミラーメンは塩ベースのスープの中に、十三湖の特産品であるヤマトシジミのエキスがたっぷり入っているラーメン。トッピングにもたくさんのシジミ貝がのせられていて、プリプリのヤマトシジミと旨みたっぷりのスープが人気である。また、青森県産米の米粉が入った麺にヤマトシジミのスープのシジミの汁焼きそばもこの地域で食することができる。
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補足情報

*汽水湖:海水が水質や湖水の運動に影響を及ぼすような湖。開水路を通じて海水との直接な交流のある場合がほとんどであるが、地下水の形で海水が間接的に浸入している場合もある。北海道のサロマ湖、静岡県の浜名湖などが代表例。
*ヤマトシジミ:日本で採れる三種類のシジミの一種。淡水に海水が交る汽水域に生息する。わが国では99%がヤマトシジミと言われている。他のシジミに比べると貝殻のふくらみが少し高く、輪脈が弱い形をしている。
*地理的表示保護制度(GI制度):伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品が多く存在している。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」である。2021(令和3)年10月現在110産品が登録されている。Geographical Indication。