十三湖じゅうさんこ

津軽半島の中西部にあり、岩木川の河口部に東西7km、南北5km、周囲31.4kmの潟湖*で北西部の幅250mあまりの水路で日本海と通じている。南から岩木川と山田川など十三の河川が流れ込むので十三湖と言われている。西は七里長浜に続く砂丘帯で、砂州の先端に十三(じゅうさん)*の集落が細長く連なっている。
 十三湖の中島へは長さ350mのヒバの木橋が架けられ、遊歩道橋となっている。民謡「十三(とさ)の砂山」*の舞台となった十三湊は、室町時代の安東氏統治以後重要視され、津軽藩四浦(しうら)*の一つとして繁栄した。しかし、明治に入ると水深が浅いため、しだいに港としての機能を失い現在ではまったくその面影をとどめていない。
 湖には淡水・海水両方の魚が住みシジミ漁が盛んである。宍道湖と日本一を競う漁獲量を誇る十三湖のシジミは、「十三湖産大和しじみ」として、地理的表示保護制度(GI制度)*に登録されている(別掲「十三湖のシジミ料理」参照)。
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みどころ

太宰治*は「津軽」で「やがて十三湖が冷え冷えと白く目前に展開する。浅い真珠貝に水を洩ったな気品はあるが、はかない感じの湖である。波一つない。船も浮かんでいない。ひっそりしてゐて、そうしてなかなかひろい。人に捨てられた孤独の水たまりである。」と表現している。静寂さとさびれた風景が北の地域の湖らしく人をひきつける。
 中の島に架かる木橋が島の緑に映え、直線に延びる質素な姿が美しい。また湖の南に目を向けると、広がる津軽平野の向うに立つ岩木山の裾野を広げる姿が印象的であり、岩木山の代表的な写真撮影スポットの一つと言えよう。
 十三湖はシジミが名産で遠浅の湖水であるため、中の島ブリッジパークで4月下旬~10月中旬の間シジミどりが気軽に体験できる。またオオハクチョウ、コハクチョウの渡来地としても有名で、幻の鳥と言われているオオセッカや、天然記念物のオオワシなど、飛来する鳥や生息している鳥が多く、バードウォッチングも楽しめる。
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補足情報

*潟湖:太古の海が砂州などの発達によって、取り残されてできた湖。北海道や本州日本海側に多い。
*十三:読み方は古くは「とさ」であったが津軽藩主が土佐守に任じられたため、語呂をはばかり、「じゅうさん」としたという。
*十三の砂山:「十三の砂山、米ならよかろ、西の弁財衆にゃただ積ましょ」と哀調を帯びたメロディーでうたわれる。藩港時代の十三は、繁栄のかげに、地元に残るものは砂山の砂ばかりという悲哀があった。
*四浦:青森・鯵ガ沢・深浦・十三の港を指した。
*地理的表示保護制度(GI制度):伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品が多く存在している。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」である。2021(令和3)年10月現在110産品が登録されている。Geographical Indication。
*太宰治:1909~1948年。作家。本名津島修治。1909(明治42)年大地主の六男として誕生。東京帝国大仏文科卒業後、本格的な作家活動に入り、1933~1945(昭和8~20)年にかけて、次々と佳作を発表した。その文章の底流には鋭敏な感受性がもたらす人間的葛藤と、故郷津軽の風土に根ざすほの暗い頽廃的なものを秘めている。1948(昭和23)年、玉川上水で自殺。代表作に「斜陽」「富嶽百景」「走れメロス」「津軽」など。
関連リンク 五所川原市公式観光サイト(五所川原市)(WEBサイト)
参考文献 五所川原市公式観光サイト(五所川原市)(WEBサイト)
Amazing AOMORI(青森県・公益社団法人青森県観光国際交流機構)(WEBサイト)
『青森県の歴史散歩』 青森県高等学校地方史研究会(編) 山川出版社

2023年11月現在

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