奥入瀬渓流
奥入瀬川は十和田湖から流出する唯一の河川で八戸市の北で太平洋に注いでおり、全長は約71kmである。その上流部の、「十和田湖畔子ノ口」(とわだこはんねのくち)から「焼山」(やけやま)までの約14kmの区間が奥入瀬渓流である。この区間は、森の中を千変万化して流れ下る渓流美をつくりだし、十和田湖とともに東北の代表的な景勝地となっている。この区間、徒歩では4~5時間、自転車(車道)では1.5~2時間で辿ることができる。駐車場は、十和田湖の遊覧船乗り場(子ノ口)、奥入瀬渓流館、焼山の3か所あり、石ヶ戸と奥入瀬渓流館には休憩所がある。
渓流はU字形をした渓谷で、その両側は十和田火山が噴出した溶岩が迫って岩石が露出しているが、谷底の平坦部が比較的広く、流れとほぼ同じ高さに車道と歩道がつくられているため渓谷美を間近に観賞できる。十和田湖という大きな湖を源としているため水量が安定し洪水も少ないのが特徴で、土がよく肥えており、トチノキ、カツラ、サワグルミといった林が流れの両側に見られる。また暗く湿った林内はオシダなどのシダ類やコケ類でおおわれている。渓流途中、比較的開けていて広がりをもった区間には中州が多く見られ、ヤナギ類やタニガワハンノキなどの林も見られる。春4月から5月にかけて渓流沿いの林のなかにキクザキイチリンソウやニリンソウが次々に花を咲かせる。これらの植物は、雪解けから新緑までの短いあいだに、芽吹きから結実までを終えてしまい、その後は日陰を好む植物でおおわれてしまう。
野鳥や動物も多く見られる。尾を上下に振るセグロセキレイ、大きな鳴き声のヤマセミやミソサザイなど、また川の流れのなかにはオシドリの派手な姿が、自然の色のなかにとけ込んでいる。水溜りなどの止水域に卵を生むトウホクサンショウウオや、支流の源流部で産卵するハコネサンショウウオなども生息している。渓流沿いの斜面には、カモシカがたまに姿を見せる。
渓流はU字形をした渓谷で、その両側は十和田火山が噴出した溶岩が迫って岩石が露出しているが、谷底の平坦部が比較的広く、流れとほぼ同じ高さに車道と歩道がつくられているため渓谷美を間近に観賞できる。十和田湖という大きな湖を源としているため水量が安定し洪水も少ないのが特徴で、土がよく肥えており、トチノキ、カツラ、サワグルミといった林が流れの両側に見られる。また暗く湿った林内はオシダなどのシダ類やコケ類でおおわれている。渓流途中、比較的開けていて広がりをもった区間には中州が多く見られ、ヤナギ類やタニガワハンノキなどの林も見られる。春4月から5月にかけて渓流沿いの林のなかにキクザキイチリンソウやニリンソウが次々に花を咲かせる。これらの植物は、雪解けから新緑までの短いあいだに、芽吹きから結実までを終えてしまい、その後は日陰を好む植物でおおわれてしまう。
野鳥や動物も多く見られる。尾を上下に振るセグロセキレイ、大きな鳴き声のヤマセミやミソサザイなど、また川の流れのなかにはオシドリの派手な姿が、自然の色のなかにとけ込んでいる。水溜りなどの止水域に卵を生むトウホクサンショウウオや、支流の源流部で産卵するハコネサンショウウオなども生息している。渓流沿いの斜面には、カモシカがたまに姿を見せる。
みどころ
大町桂月*が「住まば日本(ひのもと) 遊ばば十和田 歩きゃ奥入瀬 三里半」と十和田、奥入瀬の自然をいたく気に入り、世にその魅力を知らしめた。新緑、紅葉など四季による変化が、渓流美の演出に大きな効果をもたらしている。奥入瀬の新緑は4月下旬、高木の芽吹きに始まる。森の萌ゆる緑と残雪の対照を見られるのは晩春まで。新緑は7月上旬で終わり、鬱蒼とした夏が去ると、奥入瀬の美の象徴ともいえる紅葉のシーズンである。最盛期は10月下旬で、ブナ・トチノキなどの黄葉する樹木が多く、それだけにカエデ類の紅色が印象深い。年間を通じてもっとも華やかなときだが、かなり混雑もする。11月中旬、樹林が茶色に変わると再び雪がやってくる。冬も素晴らしく、渓流の至る所に氷瀑氷柱が育ち、一面が雪に覆われて白銀の世界になる。「冬の奥入瀬氷瀑ナイトツアー」はライトアップされた氷柱などの幻想的な世界を体験できる。
日本の渓谷、渓流では急流により浸蝕されたV字型になることが大半であるが、奥入瀬渓流はU字型で渓流をゆっくり歩いて身近に観賞できるのが大きな魅力。渓流の壁の部分に縦方向の柱状節理が見られるが、これが割れ目に沿って崩れやすいという溶結凝灰岩である。カルデラでできた十和田湖に水が溜まり、ある日突然奥入瀬側が決壊して巨大洪水が起こって溶結凝灰岩の台地を削って幅広いU字谷が形成されたという。このため低い目線から川の流れが美しく眺めることができ、わが国では稀な渓谷美となっている訳である。
渓谷を巡るには焼山方面の下流部から子ノ口の上流部に向かうのがお勧めであり、特に石ヶ戸から子ノ口までの8.8kmに見どころが多い。
●「石ヶ戸の瀬」では、川幅の広さと、河川勾配が緩やかなため、豊かな水量にもかかわらず流れはそれほどきつくなく、いかにも涼しげな流れが目の前に展開する。
●「阿修羅の流れ」は石ヶ戸の先1.7kmにあり、うっそうと茂った木立のあいだを激しく流れ、その名に恥じない。
●その先1.1km には左側に「雲井の滝」がある。森林にかこまれた断崖から、三段になって落下するこの雲井の滝は、高さ20メートル、水量も豊かで渓流沿いにある滝のなかでも、見ごたえのある滝のひとつ。
●さらに4.5km先には奥入瀬渓流本流にかかる唯一の滝、「銚子大滝」がある。高さ7メートル、幅20メートル。水音高らかに水しぶきをあげる堂々たる滝で、流れ落ちる水が霧となり、日があたると幾本もの光の筋をつくりだす。
●1.5km進むと十和田湖からの流出口の「子ノ口」に着く。発電の目的で、水は付近の水門でコントロールされている。奥入瀬渓流は、昔から湖によって流水が自然に調整されたことと、70メートルにつき1メートルというゆるい勾配のため、川のなかの小さな岩や倒木にもコケや潅木がはえ、独特の繊細な景観をつくりだしており、こうした美しい景観を損なわないように、水門では日中の「観光放流」も行っている
ここで紹介した見どころ以外にも、「三乱の流れ」、「屏風岩」、「一目四滝」、「一万一千百五両の眺め」など名所が数多くあり、地図やガイドブック(https://www.towada.travel/about/pamphlets)を片手に散策するとよい。
日本の渓谷、渓流では急流により浸蝕されたV字型になることが大半であるが、奥入瀬渓流はU字型で渓流をゆっくり歩いて身近に観賞できるのが大きな魅力。渓流の壁の部分に縦方向の柱状節理が見られるが、これが割れ目に沿って崩れやすいという溶結凝灰岩である。カルデラでできた十和田湖に水が溜まり、ある日突然奥入瀬側が決壊して巨大洪水が起こって溶結凝灰岩の台地を削って幅広いU字谷が形成されたという。このため低い目線から川の流れが美しく眺めることができ、わが国では稀な渓谷美となっている訳である。
渓谷を巡るには焼山方面の下流部から子ノ口の上流部に向かうのがお勧めであり、特に石ヶ戸から子ノ口までの8.8kmに見どころが多い。
●「石ヶ戸の瀬」では、川幅の広さと、河川勾配が緩やかなため、豊かな水量にもかかわらず流れはそれほどきつくなく、いかにも涼しげな流れが目の前に展開する。
●「阿修羅の流れ」は石ヶ戸の先1.7kmにあり、うっそうと茂った木立のあいだを激しく流れ、その名に恥じない。
●その先1.1km には左側に「雲井の滝」がある。森林にかこまれた断崖から、三段になって落下するこの雲井の滝は、高さ20メートル、水量も豊かで渓流沿いにある滝のなかでも、見ごたえのある滝のひとつ。
●さらに4.5km先には奥入瀬渓流本流にかかる唯一の滝、「銚子大滝」がある。高さ7メートル、幅20メートル。水音高らかに水しぶきをあげる堂々たる滝で、流れ落ちる水が霧となり、日があたると幾本もの光の筋をつくりだす。
●1.5km進むと十和田湖からの流出口の「子ノ口」に着く。発電の目的で、水は付近の水門でコントロールされている。奥入瀬渓流は、昔から湖によって流水が自然に調整されたことと、70メートルにつき1メートルというゆるい勾配のため、川のなかの小さな岩や倒木にもコケや潅木がはえ、独特の繊細な景観をつくりだしており、こうした美しい景観を損なわないように、水門では日中の「観光放流」も行っている
ここで紹介した見どころ以外にも、「三乱の流れ」、「屏風岩」、「一目四滝」、「一万一千百五両の眺め」など名所が数多くあり、地図やガイドブック(https://www.towada.travel/about/pamphlets)を片手に散策するとよい。
補足情報
*大町桂月:1869~1925年。明治大正時代の文人。旅と酒とをこよなく愛し後半生は、「行雲流水」や「日本の山水」などを刊行、紀行文家として名声を獲得した。
関連リンク | TOWADA TRAVEL(一般社団法人十和田奥入瀬観光機構)(WEBサイト) |
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参考文献 |
TOWADA TRAVEL(一般社団法人十和田奥入瀬観光機構)(WEBサイト) 一般社団法人十和田湖国立公園協会(WEBサイト) 『ブラタモリ14』監修NHK制作班 |
2023年08月現在
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