浅所海岸の白鳥(小湊のハクチョウ)あさどころかいがんのはくちょう(こみなとのはくちょう)

浅所海岸は夏泊半島の東側付け根にある遠浅の海岸で、例年11月中旬から3月下旬まで、シベリアから飛来するオオハクチョウ*の越冬地となる。このあたりは沖合約500mまで遠浅の海岸が続き、汐立川から流入する淡水の影響で餌が豊富なため多くのオオハクチョウが集まるものと考えられている。最盛期には数百羽が集まり華麗な群舞を繰りひろげる。青い森鉄道、小湊駅から北東2.5kmに位置する。
 近くには雷電宮がある。御祭神は別雷命(わけいかづちのみこと)、雷様が神様だといい、近くの浅所海岸に飛来する白鳥は神様のお使いといわれている。
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みどころ

オオハクチョウの特別天然記念物*はこの地域の「小湊のハクチョウおよびその渡来地」だけであり、その指定理由としては「世界的に珍しい群生地帯で、学術上極めて有益。また、交通や周囲の環境が他の渡来地よりはるかによい」とされている。
 海岸には松島・小松島があり、木製の形の美しい橋でわたることができ、松の木の緑と遠浅な干潟の全体が見渡せる展望地となっている。また島には菅江真澄*の「この河の 渡しも浪のいとふかし この世のあさとこと 名のみなかれて」句の碑があり、この地を訪れたものの渡れなかったと残念な気持ちを歌っている。 
 オオハクチョウについては平内町の浅所小学校(廃校)の児童たちと教員・地元有志が、2010年まで55年間にわたって継続して観察してきた。白鳥の個体数や飛来・飛去時期などの観察記録が残されており、このデータとしてまとめた論文が研究論文として国際学術誌に掲載された。現在も地元では「平内町白鳥を守る会」が活動しており、白鳥の生態調査や海岸清掃、浅所海岸環境調査などを行っており、また白鳥ガイド隊が「1.白鳥伝説の残る雷電宮、2.素晴らしい景観の松島、3.白鳥の生態」等について案内する(要予約)など地道な活動を続けている。
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補足情報

*オオハクチョウ:優美なハクチョウの中でも大型の部類に属する。ヨーロッパ北部からシベリア方面に繁殖し、冬期には群をなして日本各地に飛来する。
*オオハクチョウの特別天然記念物:特別天然記念物はここだけであるが、天然記念物としては、水原のハクチョウ渡来地〔新潟県阿賀野市〕と猪苗代湖のハクチョウおよびその渡来地〔福島県耶麻郡猪苗代町〕が指定されている。
*菅江真澄:1754~1829年。江戸中期から後期にかけての執筆家。蝦夷地や東北地方の紀行日記は写生図とともに江戸後期東北の歴史地理の精細な当時の姿を描写している。
関連リンク 平内町(WEBサイト)
参考文献 平内町(WEBサイト)
八戸工業大学工学部(WEBサイト)
八百万の神(WEBサイト)

2023年07月現在

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