原始ヶ原
十勝岳連峰の最南に位置する富良野岳の南側斜面の標高1000~1300m地点に広がる中・高層湿原。総面積は1.15km2にも及ぶ。富良野岳山頂を目指す富良野市側からの入口となる原始ヶ原登山口から登山ルートを歩くとここを通過することになる。まさに手付かずの自然という場所で、その名の通り原始的な風景が広がっており、木道をはじめ、利用のための施設はいっさい整備されていない。春から夏にかけては貴重な高山植物が咲き、花の山とも呼ばれる富良野岳の中でも、特に貴重な植物を見られる所である。コマクサやエゾルリソウなど100種類もの高山植物や、樹齢100年を超えても1mほどにしか成長できないアカエゾマツなどの貴重な植物、秋には非常に美しい紅葉が見られる。
また、周辺には「原始銀河の滝」「錦糸の滝」「不動の滝」「二段の滝」「蒼天の滝」「赤岩の滝」「昇竜の滝」といった大小さまざまな滝もある。
また、周辺には「原始銀河の滝」「錦糸の滝」「不動の滝」「二段の滝」「蒼天の滝」「赤岩の滝」「昇竜の滝」といった大小さまざまな滝もある。
みどころ
登山口から原始ヶ原の入り口にあたる富良野岳分岐まで一般的なコースタイムで2時間かかる。ここからは、視界の先に富良野岳を眺めつつ、足元には高層湿原*特有の草原と、同じ高さにそろった低木が広がる、まさに原生的な雰囲気を味わうことができる。湿原によくある木道はここにはないため、登山靴を履いていてもくるぶしまで泥に埋まることがある。ところどころに小さな池塘があり、周囲を囲む柵などはいっさい整備されていないので、長靴がなければ歩くことは難しいだろう。ここまでの道のりは、出だしは比較的容易な登山道から始まるが、途中には厳しい箇所もあるため、登山の心得が必要である。原始ヶ原に入ると、踏み跡はわずかに残るだけで、ピンクのテープによって歩行ルートが示されているものの、ルートを見失いやすい。滝を巡るコースもあるが、現地の案内板によると上級者向けとなっている。大雪山国立公園連絡協議会が設定した大雪山グレードによると、原始ヶ原を歩くルートはグレード4、滝めぐりコースは最も原生性が高く大雪山のきわめて厳しい自然に挑む登山ルートに区分されるグレード5である。ウェブ上などにある登山記録などを参考にして準備を進めると良い。当然のことながら、これほど原生性が残り、貴重な自然を観光対象にするには、きわめて厳格な環境配慮行動が不可欠である。
補足情報
*高層湿原:枯死した植物が低温・過湿のために腐らずに残った泥炭が蓄積し、中央部が盛り上がって周囲より高くなり、雨水のみで維持されている貧栄養な湿原。植生はミズゴケ類が主体。
関連リンク | ふらの観光協会ホームページ(WEBサイト) |
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参考文献 |
ふらの観光協会ホームページ(WEBサイト) 大雪山国立公園連絡協議会「原始ヶ原」(WEBサイト) |
2023年12月現在
※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。