安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄やすだかんちょうこくびじゅつかんあるてぴあっつぁびばい

安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄は、札幌から北東へおよそ60km、石狩平野のほぼ中心の美唄市にある野外彫刻公園。JR函館本線美唄駅からバスで19分。「アルテピアッツァ」はイタリア語で「芸術広場」。
 かつての炭鉱都市であった美唄市に、閉校した小学校校舎や体育館を改修し、姿をほぼそのままに残し、美唄出身の世界的彫刻家・安田侃(やすだかん)*の彫刻作品を敷地や建物内に展示し、1992(平成4)年に芸術交流文化施設としてオープン。2016(平成28)年に博物館法に基づく美術館となった。木造校舎や旧体育館では展覧会やコンサートなどが多数行われており、敷地内には軽食できるカフェや体験工房などもある。広さ70,000m2、展示作品数は45点(2023(令和5)年現在)。
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みどころ

アルテピアッツァは美唄の自然、歴史、そして人々の「ふるさと」への想いが調和する芸術空間を目指しており、実際に深い緑に囲まれた広場に配置されている彫刻作品や廃校の校舎の利用などとして具体化されている。周辺の森の濃い緑と広場の黄緑色、彫刻の大理石の純白やブロンズの黒色のコントラストと、自然と芸術作品のコントラストが美しく快い。
 美唄市教育委員会とNPO法人アルテピアッツァびばいが協力し、2017(平成29)年にまとめた「安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄ビジョン」の中で、基本理念を次のように掲げている。
・自然と人と芸術の新しいあり方を模索し、提案し続けます。
・地域と人、人と人をつなぐ交流の機会を作り、交流の場となります。
・地域の文化、芸術、学術の振興に貢献します。
・土地の記憶を受けつぎ、読み解きながら、次の世代へ伝えます。
・彫刻家・安田侃の研究を通して、その彫刻の精神を理解し、後世に伝えます。
まさにこうした理念を実現しつつあることに感心させられる。
 なお、アルテピアッツァ美唄以外にも安田侃の作品は、美唄市の我路ファミリー公園に炭鉱の記憶・思いを残すための「炭山の碑」、札幌駅構内の「妙夢」を始めとして、札幌市内に作品*が点在して置かれている。
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補足情報

*安田侃:1945年北海道美唄市生まれ、東京芸術大学大学院を卒業後、イタリアのローマ・アカデミア美術学校に留学し、その後北イタリアで創作活動を続ける彫刻家。大理石やブロンズを用いた有機的な曲線の作品づくりが特徴で、その作品は国際的に評価されている。
*札幌市内の作品:JR札幌駅構内、西コンコースの中央に置かれた白い大理石の彫刻作品「妙夢」、市を東西に分ける創成川公園には、川の右岸と左岸に対になるよう配置された「天秘」など3つの作品、北海道知事公館には「意心帰(いしんき)」、中島公園札幌コンサートホールの「相響」、札幌芸術の森美術館の「間」など。