西ノ島町は県北東部、隠岐郡の町。隠岐諸島の島前北西部西ノ島からなる。1島1町。
南部の内海に臨む別府港から本土の境港や島後の西郷港へ定期航路がある。島内を走る県道西ノ島線は国道485号に昇格。
火山島であったことから高低起伏が激しく、島の東西を走る200~300mの山脈により、内海側と外海側とに分かれている。
内海側は、中ノ島(海士町)、知夫里島(知夫村)と相対して3島に囲まれた広々とした内海湾で天然の良港に恵まれ、14の集落が点在。外海側は西北岸に1つの集落がある外は海蝕断崖の連続で、海岸には奇岩怪礁があり、特に国賀海岸は隠岐島の観光の代表的景観として知られている。河川は谷間の小流で、急峻な山裾がそのまま海に接する地形上平坦地は少ない。美田地区にわずかに田地があり、丘陵地帯の段々畑となっている。
1957年(昭和32)浦郷町と黒木村が合併して成立。旧黒木村は古代三田郷の地で、後醍醐天皇行在所黒木御所があった地。かつては広く牧畑(輪転式農業)がみられたが近年は放牧地となる。隠岐は、古事記・日本書紀でみられるように国土生成の時より大八州の1つに数えられ、歴史的には古い島といわれている。大陸間海上交通の要衝で、孤島だが早くから開けた島だった。律令時代に隠岐は遠流の地に定められた。近世は、北前船の風待港として栄え、流人の島としては文化的に比較的恵まれた環境だった。
漁業、観光、畜産が大きな柱となっている。漁業では巻き網、定置網、一本釣り、刺し網、かにかご、採貝藻、いわがき養殖等の漁業が行われているほか、水産資源の維持・増殖のためにマダイやアワビ等の放流事業、植林活動や海岸清掃を行っている。また、活イカ、活魚、プロトン凍結商品、サザエの缶詰等の水産加工品の販売、いわがきのブランド化を推進。この他、かつての牧畑の形態を受け継ぐ畜産、麦・大豆等の作物栽培がおこなわれている。
西部の国賀海岸は大山隠岐国立公園を代表する景勝地で、国指定の名勝・天然記念物。島には史跡も数多く残されており、西ノ島町には後醍醐天皇の行在所の黒木御所などがある。焼火山頂上付近の焼火神社は古くから海上交通安全の神として船乗りの信仰が厚く、トモドとよばれる和船(国指定重要有形民俗文化財)が保管されている。また、焼火神社の本殿、拝殿などは国の重要文化財。「隠岐の田楽」として美田八幡宮の田楽と日吉神社の庭の舞が国の重要無形民俗文化財に指定されている。この他、海洋センター、ふるさと館等の施設がある。

観光資源一覧

国賀海岸の写真

写真提供:西村愛

国賀海岸 (島根県 西ノ島町 )

西ノ島の西面、13km余りの海岸一帯をいう。粗面玄武岩の溶岩台地が海食され、断崖・岩礁・洞窟が絶妙の造形美をみせ、隠岐の代表的な景勝地になっている。  その中心になる摩天崖(まてんがい)は、実に257mもの大断崖で、海に突きささるかのように垂直にそそり立っている。さらに、海にせり出た巨岩が海食されてできた大石門・通天橋(つ...