吉野川市
印刷する吉野川市は、県北部のほぼ中央、吉野川の中流南岸に位置し、美馬市、阿波市、上板町、神山町、石井町と接する。
南部には高越山をはじめとする急峻な山々が連なり、これらの山々を水源とする飯尾川、桑村川、学島川、川田川などが吉野川に合流している。吉野川に並行してJR徳島線と国道192号が走り、ほかに国道193号、318号が通じる。
歴史は古く、山川町忌部山の忌部山古墳群は古代麻植郡での活動が知られる阿波忌部氏との関連が指摘される。江戸時代には川島浜、三ツ島浜、瀬詰浜などは吉野川水運の河港として賑わった。また、吉野川流域では藍作が広まり、当地の反当たり収量は徳島藩領内で最高水準を誇った。明治時代後半には藍作が衰退し養蚕が盛んとなり、佐渡製糸場など器械製糸工場が操業。明治初期には県内最大の銅山となる高越鉱山が開坑され活況を呈した(閉山)。
現在の主産業は農林業で、米作のほか蔬菜や果樹栽培、畜産などが盛ん。江戸時代の特産だった川田和紙は1989(昭和64・平成元)年、阿波和紙伝統産業会館が設立され、伝統技法の継承を図っている。1973(昭和48)年から造成された鴨島中央工業団地には電子部品関連工場などが進出している。
高越山は阿波富士よばれ、阿波修験道発祥の山とされる。山頂近くには真言宗大覚寺派高越寺がある。美郷地区の川田川上流域を中心に5種類のホタルが生息し、「美郷のホタル及びその発生地」と呼ばれ、山川地区船窪のオンツツジ群落とともに国の天然記念物に指定されている。また、かつての製糸工場のうち「旧郡是製紙工場」は四国地方の製紙関連遺産として経済産業省の近代化産業遺産(製糸)に登録されている。この他、四国八十八か所札所の藤井寺などがある。