浜田市
印刷する浜田市は県西部にあり、北東は江津市、東は邑南町、南西は益田市、南は広島県北広島市に接し、北から西は日本海に面する。
JR山陰本線と国道9号が海岸沿いを走り、国道186号が広島県へ通じる。また、浜田自動車道の浜田インターチェンジ、山陰道(江津道路)浜田東インターチェンジがある。
市の大部分が丘陵地や山地で、中国山地が日本海まで迫り、また、切り立ったリアス式地形と砂丘海岸による海岸線を持つ。浜田川、周布川、三隅川等の河川が流れており、河川の下流域には平地を形成して市街地や農地が展開している。
1940年(昭和15)浜田町と4村が合併して市制施行。その後編入をおこない、2005年(平成17)3町1村を合併して現在の市域となる。地名は1020年(寛仁4)中納言常方が浜に田を開いたことによると伝える。古くから石見地方の政治・文化の中心的役割を担い、古代は石見国府が置かれ、中世には周布氏や三隅氏が朝鮮王朝とも交易を行っていた。近世になると海岸部に浜田藩、山間部に津和野藩が置かれ、現在の市街地には浜田藩の城下町が造られた。植林、製鉄、石州瓦製造、養蚕などが盛んにおこなわれ、石見地方の中核都市として発展してきた。また、明治中期から港湾都市として発展。1957年に浜田港が重要港湾に指定されるなど、日本海沿岸屈指の水産・港湾都市。
長浜の浜田商港には竹材のほか北洋材、南洋材の輸入がみられ周布川河口には木工団地が建設されている。石州瓦の産出も多い。沿岸や日本海は好漁場で、浜田浦の漁港はアジ、サバ、ノドグロ、カレイなどの水揚げが多い。水産加工業も盛んで、缶詰は北アメリカ、東南アジアに輸出される。弥栄米(弥栄町)が生産されるほか、ピオーネ、梨、柿等の果物の栽培もおこなわれる。東部山村地帯ではクリ、シイタケ栽培や林業が行われている。
国分地区の石見国分寺跡、下府廃寺塔跡(ともに国史跡)、隆起海床の石見畳ヶ浦(国の天然記念物)、周布古墳(国史跡)などがある。また、大佐山、雲月山は西中国山地国定公園に含まれている。この他、海水浴場、スキー場、しまね海洋館アクアス、世界こども美術館などの施設がある。温泉は美又温泉、旭温泉がある。 伝統芸能に、日本神話などを題材とした石見地方独特に受け継がれている「岩見神楽」があり、地元では「舞」「どんちっち」(囃子のリズムから)と呼ばれている。また、三隅地区に伝わる石州半紙(石見半紙)の製造技術は国の重要無形文化財に指定されている。石州半紙は2009年(平成21)にユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録され、2014年には、岐阜県美濃市の「本美濃紙」、埼玉県小川町、東秩父村の「細川紙」とともに、「和紙―日本の手漉和紙技術」としてあらためて無形文化遺産に登録された。
観光資源一覧
石見畳ヶ浦 (島根県 浜田市 )
JR山陰本線下府(しもこう)駅の北へ約2km、国分町唐鐘(とうがね)海岸にある。1872(明治5)年の浜田地震で隆起したといわれるもので、高さ20mの海食崖、約5万m2の千畳敷と呼ばれる隆起海床*が広がる。これは第三紀層の礫岩・砂岩・頁岩の互層で、中に貝の化石や鯨の骨を含んでいる。まるで畳を敷いたように見える小さな亀裂が...