石見畳ヶ浦いわみたたみがうら

JR山陰本線下府(しもこう)駅の北へ約2km、国分町唐鐘(とうがね)海岸にある。1872(明治5)年の浜田地震で隆起したといわれるもので、高さ20mの海食崖、約5万m2の千畳敷と呼ばれる隆起海床*が広がる。これは第三紀層の礫岩・砂岩・頁岩の互層で、中に貝の化石や鯨の骨を含んでいる。まるで畳を敷いたように見える小さな亀裂が縦横に走っていてそれが畳ヶ浦の名の由来になっている。また、千畳敷には腰かけのような丸い石(団塊=ノジュール*)が平行に並んでいる。
 千畳敷を中心として、一帯の海岸線は釣りの名所である。手前の砂浜の国府海岸は海水浴の適地で、国民宿舎がある。
#

みどころ

国府海水浴場から洞窟を抜けると、目の前に「千畳敷」とよばれる広大で平らな岩場が広がり、所々に腰掛け状の丸い岩が並んでおり、海を背景に珍しい光景が見られる。約1,600万年前の地層や化石を気軽に観察することができる貴重な場所であり、賽の河原洞窟と呼ばれる海食洞や海中にそそりたつ犬島・猫島の景観もみどころのひとつである。
 ボランティアガイドを活用するとさらに詳しく知ることができる。カップルは、ハートの形をしたノムラナミガイの化石を探してみるのも楽しい。
 近年は海面のリフレクションを活かしたフォトジェニックな写真が撮影できるフォトスポットとしても人気。
#

補足情報

*隆起海床:地盤の隆起運動によって海底が陸化したもの。岩石海岸では浅い波食台が隆起して幅広い磯となる。
*団塊=ノジュール:砂に穴をあけて住む貝(穿孔せんこう貝)の貝殻の成分(炭酸カルシウム)が、まわりの砂を固めることでできる。