阿蘇のあか牛料理あそのあかうしりょうり

あか牛は阿蘇地方を中心とした熊本県内の中山間地域で飼養され、全国のあか牛の95%以上が熊本で生産されている。耐寒・耐暑性に優れ、放牧に適し、おとなしい性格で飼育しやすいという特性を持つ。一般的な和牛が穀物で飼育されるのに比べ、あか牛は牧草や野草で育てられる。
 あか牛は正式には褐毛和種(あかげわしゅ)のことで、熊本系と高知系に分けられ、いずれもそのルーツは韓牛と言われている。現在の「くまもとあか牛」は、阿蘇、矢部、球磨地方で飼育されていた在来種に、スイス産のシンメンタール種*という牛を交配し品種改良された固有種で、1944(昭和19)年に褐毛和種と命名され、日本固有の肉用種と認定された。
 阿蘇の雄大な草原で、適度な運動と良質な牧草をふんだんに食べて育つあか牛。その肉質はうまみ成分が豊富に含まれる赤身が多く、余分な脂肪分が少ない。程よい柔らかさと弾力もあり、さまざまな料理に適している。
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みどころ

人気のあか牛丼は赤身肉を甘辛ダレでレアからミディアムレアに焼き上げ、温かご飯と一緒に食べる。柔らかくてジューシー、噛むほどにおいしさが口いっぱいに広がり、どんどん箸が進む。あか牛丼のほかにも焼肉、ステーキ、ハンバーグ、あか牛カツなど、阿蘇地方の多くの飲食店で味わえる。阿蘇あか牛肉料理認定店*に登録される店舗を利用するのもよい。
 野焼きを終えた原野に草が芽吹いて、一面が緑に頃にあか牛が放牧される。放牧されたあか牛が草原を歩くことで草原の地割れを防ぎ、あか牛が伸びた草を食べることで草原はきれいに保たれている。阿蘇の草原を維持するためにあか牛は重要な役割を果たし、阿蘇の農業には欠かせない存在である。
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補足情報

*シンメンタール種:スイスのシンメンタール谷が原産地。ヨーロッパの牛の中でも大型で、乳肉兼用種。日本では明治末期に導入され、熊本の褐毛和種の改良に用いられた。
*阿蘇あか牛肉料理認定店:認定店で使用するあか牛は、1、阿蘇地域で、誕生から肥育まで全期間飼養されたあか牛であること 2、飼料として、阿蘇産の牧乾草や稲ワラなどが主に給与されていること、または阿蘇の牧野で育った経歴があること という二つの基準を設けて、阿蘇のあか牛を提供する管内の飲食店を認定している。

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