チブサン古墳ちぶさんこふん

熊本県北部の山鹿市、九州自動車道菊水ICから車で15分にある。
 全長55m以上、墳丘長44m、高さ7mの6世紀前半に造られた前方後円墳。長軸をほぼ東西に向け、南に入口がある複室の横穴式石室で、後円部にある全長6mほどの石室*には前室(約1.9m四方)と後室(約3.6m四方)の二つの正方形の部屋がある。後室には石屋形*が置かれ、屋根全体や壁の内側に赤・白・黒の三色で菱形、三角、円の幾何学模様や人物が描かれている。中央の丸い模様が乳房に見えることから、チブサンと呼ばれるようになった。
 古墳時代に築かれた古墳が全国で30万基以上あるとされる中で、装飾古墳は少ない。2024(令和6)年度の調査結果で、全国で確認された装飾古墳は765基、そのうち熊本県に212基が分布し、特に菊池川流域に131基が集中する。菊池川流域では、装飾に用いる赤色顔料「ベンガラ」の材料となる阿蘇黄土が手に入れやすかったことが一つの理由とされる。
 チブサン古墳は日本の装飾古墳を代表する古墳の一つとされる。
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みどころ

チブサン古墳は溶結凝灰岩で作られていて、温度や湿度がうまく保たれるおかげで保存状態が大変良い。古墳の中で1,500年も守られている文様や人物画を自分の目で見ることができるので、事前予約の上、内部見学*をおすすめする。見学申し込み先の山鹿市立博物館も見ごたえがあり、全国で唯一出土した石包丁鉄器(国指定重要文化財)など菊池川流域の考古・歴史・民俗資料を数多く展示する。博物館で予習をしてチブサン古墳の見学に臨めば、より一層理解が深まる。
 チブサン古墳から西へ約350mにオブサン古墳*があり、古墳の入口が広く開いているため外気や風雨の影響で装飾は消えているが、こちらは自由に見学できる。
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補足情報

*石室:石室の壁は凝灰岩(火山灰が固まってできた岩石)の割石がドーム状に積み上げられ、天井は大きな一枚石でふさがれている。このような形の石室を肥後型石室と言い、熊本県を中心に作られた。
*石屋形:家形の石棺。
*チブサン古墳の内部見学:申込先は山鹿市立博物館。見学可能日が決まっているため、事前確認が必要。
*オブサン古墳:直径22m、高さ5mの円墳。チブサン古墳と同様に石室は前後に二つの部屋があり、外側に向かって開く前庭部が特徴で妊婦の体形に見える。オブサン(産さん=うぶさん)古墳は江戸時代からお産の神様として信仰され、乳の神様として信仰されてきたチブサン古墳との関連がうかがえる。ここから見つかった副葬品のレプリカや石室をふさいでいた閉塞石などは、オブサン古墳そばの野外展示スペースで見ることができる。チブサン・オブサン古墳として国の史跡に指定されている。
関連リンク 山鹿市(WEBサイト)
参考文献 山鹿市(WEBサイト)
「肥後古代の森山鹿地区散策マップ」山鹿市立博物館
熊本県立装飾古墳館(WEBサイト)
「熊本県の歴史散歩」山川出版社
文化遺産オンライン(WEBサイト)

2024年11月現在

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