八代妙見祭やつしろみょうけんさい

熊本県中央の八代市、九州自動車道八代ICから車で5分、JR八代駅からバスで10分に八代神社がある。妙見祭は八代神社の秋の大祭で、江戸時代から約380年続く八代地方最大の祭礼行事である。
 11月1日から1か月にわたり関連行事が行われる中で、メインとなるのは11月22日のお下りと23日の神幸行列お上りである。お下りは、22日の午後に神馬を先頭に神輿を中心とした行列が八代神社を出発し、市街地を通り、御旅所の塩屋八幡宮にくだる。お上りは、23日の早朝に神幸行列が塩屋八幡宮を出発し、本町アーケードや八代駅前を巡り、昼頃に八代神社に戻る。お上り行列は、獅子舞を先頭に花奴や木馬、神輿と神馬の後に続く9基の笠鉾*、亀蛇(きだ)、飾馬など、伝統ある40の出し物が参列し、長さは1.5km以上に及ぶ。
 16世紀には神輿の神幸や流鏑馬などの祭礼行事が行われ、17世紀の終わりには獅子舞、笠鉾、亀蛇など豪華な出し物が奉納されるようになった。19世紀初めには現在のような盛大な祭りとなり、その様子は1846(弘化3)年の妙見宮祭礼絵巻で知ることができる。長年にわたる貴重な伝統文化の保存・継承が評価され、2011(平成23)年に国の重要無形民俗文化財の指定を受けた。2016(平成28)年には、全国の32の祭りとともに「山・鉾・屋台行事」としてユネスコ無形文化遺産に登録された。
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みどころ

11月22日の夕方に本町アーケードで御夜(前夜祭)が行われ、9基の笠鉾、亀蛇、獅子舞などが披露される。23日の神幸行列お上りは、塩屋八幡宮を出発し、本町アーケード、桜十字ホールやつしろ、八代駅前を通り、八代神社まで約6kmを練り歩く。40の出し物は行列の進行経路ならどこでも見られるが、それぞれおすすめの見学場所があるので事前に確認して訪問するとよい。
 往時の八代町人の財力がうかがえる華々しく品のある神幸行列である。旧八代城下の町内から奉納される笠鉾は9基あり、不老長寿や商売繁盛、子孫繁栄の願いを込めた彫刻や水引幕で飾られている。傘のように1本の柱で支えられ、高さ5mにもなる笠鉾の巡行は豪華絢爛である。
 八代神社境内の八代妙見祭展示館や八代城跡に隣接するお祭りでんでん館*では、妙見祭に関する展示を見ることができる。
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補足情報

*笠鉾:塩屋町の「迦陵頻伽(かりょうびんが)」は9基の中でただ一つ三層の屋根を持つ笠鉾である。笠鉾は釘を使わずに200から300個の部材でできていて、毎年祭礼のたびに各町内で組み立てと解体を繰り返しながら保管されている。
*お祭りでんでん館(八代市民俗伝統芸能伝承館):2021年7月オープン。八代妙見祭や民俗芸能の魅力を未来に伝えるための施設。エントランスゾーンは無料。巨大3面スクリーンがあるお祭り体感シアターと笠鉾や亀蛇の実物がある展示室は観覧料が必要。
関連リンク 八代妙見祭(WEBサイト)
参考文献 八代妙見祭(WEBサイト)
八代市経済文化交流部文化振興課(WEBサイト)
「八代妙見祭Guidebook」八代市経済文化交流部文化振興課
「熊本県の歴史散歩」山川出版社

2024年11月現在

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