原の辻遺跡はるのつじいせき

壱岐島の南東部の台地から平野部(深江田原)に広がる、弥生時代中期から後期にかけての大規模集落跡。3世紀末に記された中国の歴史書『魏志』倭人伝に登場する、「一支国」の王都と特定されている。
 多重の環濠に囲まれた集落の規模は0.24km2で、周辺の遺構を含めると約1km2に及ぶ。弥生時代の環濠集落としては最大級の規模を持つ。
 朝鮮や中国と日本を結ぶ海上交通の中継地として、交易や交流の拠点となった場所であり、朝鮮半島や中国大陸の土器や青銅器・鉄器などが数多く出土しているほか、環濠の外からは船着き場跡が見つかっている。
 現在、集落跡の中心部が「原の辻一支国王都復元公園」として整備され、迎賓場や倉庫、王の館や祭儀場など、17棟の建物が復元されている。近くの原の辻ガイダンスでは、発掘調査や整備に関する展示見学のほか、勾玉づくり体験や火起こし体験などができ、併設するカフェスペースで古代米を使った食事を堪能できる。
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みどころ

壱岐では珍しい平野のなか、なだらかな丘の上に弥生時代の風景が広がっている。ここが大陸と交易をしていた一支国の王都だと思うと感慨深い。
 一支国博物館*の巨大ジオラマとあわせて見学すると、よりリアルに弥生時代を感じられる。ジオラマの人形は実に表情豊か。約2,000年前の暮らしぶりが身近なものに感じられる。クイズの答えを探しながら見るうちに、弥生時代にタイムスリップした気分になる。
 展望室からは原の辻遺跡をはじめ、壱岐島内を一望できる。緑化された屋上展望広場は、壱岐の自然と一体となったように美しい。
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補足情報

*一支国博物館:壱岐島の南東部にある歴史博物館。壱岐島には約280基の古墳をはじめ約480の遺跡が知られており、豊富な壱岐の歴史を通史で紹介している。原の辻遺跡を展示の一部として取り入れたビューシアター、実物大に再現された古代船、160体の人形で原の辻の日常風景を再現した巨大なジオラマなど、体感型の展示となっている。2001(平成13)年に出土した人面石(人の顔を模してつくられており、ムンクの「叫び」に似ている。祭祀具と考えられている。)も展示されている。長崎県埋蔵文化財センターが併設され、収蔵庫や出土品の復元作業の様子も見学できる。博物館の建物は建築家の黒川紀章によるデザインで、屋上には芝が張られている。
関連リンク 壱岐観光ナビ(一般社団法人壱岐市観光連盟)(WEBサイト)
参考文献 壱岐観光ナビ(一般社団法人壱岐市観光連盟)(WEBサイト)
壱岐市立一支国博物館(WEBサイト)
文化遺産オンライン(文化庁)(WEBサイト)
「壱岐・原の辻遺跡」(原の辻遺跡調査事務所、平成16年2月)
「原の辻一支国王都復元公園」パンフレット

2024年09月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。