鬼岳火山群おにだけかざんぐん

鬼岳火山群*は約50万年前から現在にかけて噴火して、西洋の盾を伏せたようななだらかな台地を造りあげた単成火山群上に、さらに5万年前第2次の噴火によって臼のような形をした火山が重なり合ってできたものである。鬼岳、火岳、城岳、箕岳、臼岳などの火山から形成されている。その中でも鬼岳は、その恐ろしい名前にそぐわず、丸みを帯び全山緑の芝生におおわれたやさしい形が特徴的で、周辺からはっきり望めることもあり福江島のシンボルとなっている。
 1966(昭和41)年まで五穀豊穣祈願の「雨乞い」の風習もあった。1955(昭和30)年には西海国立公園に指定されている。
鬼岳の南山麓の海岸線には鐙瀬(あぶんぜ)ビジターセンターがあり、鬼岳火山群の紹介をしている。
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みどころ

福江港から鬼岳展望台まで自動車で約6km、15分に位置する。鬼岳への緩やかな斜面を登ると臼状の火口が広がり、芝に覆われた丘陵では季節の花が咲き気持ちのよい散策ルート。晩夏にはコオニユリ、秋にはリンドウなどが咲くほか、多種多様な草原植物は、春には一面緑色、秋には黄金色へと季節ごとに表情を変えて美しい景観となる。火口の尾根伝いを歩くと、眼下には福江の市街地や美しい海を望められ、天気が良ければ遠くに世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のある久賀島、奈留島・上五島も一望できる。この穏やかな姿からは、かつて噴火した火山とは想像しにくいが、それがよくわかるバームクーヘンのような地層を、鬼岳の麓で見ることができる。鬼岳を半周するトレッキングも楽しめる。
 鐙瀬ビジターセンターからは鬼岳が美しく見えるとともに、海岸沿いの展望台からは5万年前に福江火山群の噴火でできた鐙瀬溶岩海岸や赤島・黄島・黒島などの島々も望むことができる。黒い岩肌が美しい景観の海岸線が約7km続き、一見の価値がある。
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補足情報

*鬼岳火山群:福江島全体の火山は福江火山群と呼ばれる(気象庁)。その中でも鬼岳周辺が火山の特徴的な形状で観光対象となっている。