大瀬崎断崖おおせざきだんがい

福江島の最西端に位置する大瀬埼灯台は、大瀬崎断崖の上に建ち、九州本土で最も遅い時間に夕陽が沈む場所。福江港から大瀬崎灯台の展望台まで自動車で37km、約1時間。大瀬崎断崖は西海国立公園の特別地域に指定されており、削りだしたような断崖が約20kmも続く。
 大瀬埼灯台周辺には「灯台を見るための展望所」が複数あり、晴れた日には男女群島も一望できる。展望所から望む白亜の灯台と東シナ海に沈む夕陽は言葉にできないほど美しい。駐車場からは「大瀬崎灯台」への徒歩ルートがあるが、行きは下りで約20分、帰りは上り坂になるため約40分かかるので覚悟が必要。
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みどころ

海に突き出た岬を中心に、高さ100~160mほどの海食断崖が約20kmにわたって連なり、壮絶な岩の屏風が展開している。岬の突端には白亜の大瀬崎燈台が立ち、真青な海に映えてその美しさは格別。3700カンデラ光度で、およそ22km先まで照らし、近海を航行する船の道しるべとなっている。付近はイシダイ釣りでも有名であり、釣り人にとって憧れの場所でもある。
 駐車場から大瀬山への道を登ると山頂には「祈りの女神の像」がある。北村西望*作。第二次大戦中、大瀬崎断崖を見納めとして船で南方戦線へ出兵し、現地で散っていった悲しい物語があり、この英霊の鎮魂のために建立されたもの。
 この地はその美しさ険しさからドラマや映画のロケ地となっている。2010年の映画「悪人」、2022年度後期放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」などがある。
 毎年9~10月頃、遊歩道に釣り鐘形の「シマシャジン*」という小さな紫色の花や、「ハチクマ*」の渡りを見ることができる。日本に飛来したほとんどのハチクマが五島列島(大瀬崎)を経て大陸に渡りそこから南下するという。この時期には壮大な渡りを観察するため多くの人が訪れる。
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補足情報

*北村西望(きたむら せいぼう):1884(明治17)年-1987(昭和62)年は、長崎県出身の昭和を代表する彫刻家。西望の代表作品は長崎の平和記念像。
*シマシャジン:世界でも五島市と平戸市、韓国の済州島でしか見られないとされ、環境省の絶滅危惧種に指定されている珍しい花である。
*ハチクマ:両翼を広げた長さが130cmになる大型のタカ。夏に本州などで繁殖し、秋になると越冬のため東南アジア方面に向う。ハチの幼虫を食べる習慣があること、仲間のクマタカに似ていることが「ハチクマ」の名前の由来といわれている。